2011年夏、ひとりの大学生の声からはじまった被災地学習支援『まなびーば』

五年目を迎え過去11回に渡り気仙沼で活動を継続してきました。

そのすべてがはじまったのもこの大谷小学校からです。

昨年度の春は開催されなかったため大谷小学校ではまる一年ぶり、そして大谷小学校ではついに10回目の開催となりました。

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初開催の時と同じように今年の夏も開校式よりはじまります。

第一回のとき一年生だった子どもたちは今や五年生となりました。

そして第一回に参加されていた本学の副学部長の前田伸子先生も初日には参加されています。

先生も大谷でのまなびーばに懐かしさを感じられておられるようでした。

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もちろん開校式には大谷小学校校長の熊谷郁朗 先生も出席されています。

前々校長の藤村先生、前校長の畠山先生もそうでしたが校長先生に対する子どもたちの信頼は我々学生からすると神業のようです。先生の一言で場の空気が変わります。

新人メンバーにとっては子どもたちの前で話すこと自体慣れない経験です。

校長先生のお姿を通して我々学習支援ボランティアも学ぶところが大きいのです。

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さてこのの写真のなんだと思いますか。

答えは・・・イルカの頭骨です。

初日は開校式だけでなく「イルカの日」と題したイベントを実施されました。

このイベントはスナメリというイルカの全身骨格をパズルに見立て子どもたち全員で組み上げると「イルカの骨パズル」、種々の動物の頭骨を比較しながらスケッチをする「骨スケッチ」から構成されています。

このイベントは京都大学大学院理学研究科の丸山啓志さんのお力で実施することができました。丸山さんとは本学歯学部OBで、この団体設立にも関わった植草康浩 先生を通して知り合うことが叶いました。

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普段京都で研究をされている丸山さんと打合せをしながら、イルカの骨についての講義を植草先生にもお願いして、メンバー達は準備をすすめてきました。

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丸山さんが「骨スケッチ」のために持ち込んでくださった頭骨はレプリカも含めて20種類以上!

イヌやアライグマなど身近な動物からトドやジュゴン、サメ、カバ、ラッコ、パンダら原生生物、今は存在していないサーベルタイガーまで。

写真は丸山さんからメンバーに頭骨の見分け方や子どもたちへ伝える骨の面白さを伝授しているところになります。

丸山さんが京都大学の博物館や先生方に協力を取り付けてくださりこれだけのものが集めることができました。京都大学の皆様には深く感謝しております。

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開校式に後学習を終えて、「骨パズル」と「骨スケッチ」・・・の前にまずは丸山さん、もとい丸山先生からイルカのついての講義です。

猛暑に見舞われた気仙沼でもあり、会場となった多目的教室は扇風機を校長先生自ら設置してくださいました。

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5500万年前までさかのぼってのイルカの進化の歴史。

今はないテチス海、大海を泳ぎながら人間と同じ哺乳類であるイルカの体の仕組み。

港町でもある気仙沼なので子どもたちの魚の知識はかなりのものですが、イルカとなると知らないことばかりだったでしょう。

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講義は話だけでなく全身で感じてもらいます。

骨を実際に触りながらまず想像をふくらませていくのです。

専門家による本格的な講義はちょっと難しかったかもだけれども、骨をみんなで触りながらワイワイと明るい声をあげて子どもたちは楽しんでいました。

子どもたちから聞いた話をひとつ。

講義を聞いて骨からイルカの目の位置がわかるようになったよと教えてくれた子どもたちがいました。

子どもたちは侮れない。難しい話でもしっかりと聞いているものなのです。

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午後は会場を体育館に移してイルカの「骨パズル」と様々な種類の頭骨を使った「骨スケッチ」。

体育館はさながら博物館!

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まずは「骨スケッチ」の様子からご紹介します。

上の写真はトドの頭骨をスケッチしているところ。

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手前はカバ、奥はウマになります。

テレビや動物園でみるカバからは想像できないするどいキバに子どもたちもびっくり!

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スケッチは想像以上に盛況でした。

子どもたちの描いたスケッチからよくよく観察していることが伝わってきます。

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続いて「骨パズル」の様子をご紹介します。

骨の組み立ては椎骨(胸椎、腰椎、尾椎)からはじまります。

丸山先生が丁寧に子どもたちにもわかるようにその見分け方を教えます。

もちろん事前に準備をしてきたメンバーも子どもたちと一緒になって見分け頭から尾に向けて順番に並べていきます。

大学生でも苦労する椎骨の並べ替えですが、子どもたちはかなりのスピードで並べていくのです。

ちゃんと丸山先生の話を聞いているんですね。

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ちゃんと頭から椎骨を並べられたらステージにあるスナメリ全身骨格を組み立てるために専用につくられたスタンドにはめていきます。

子どもたち一人ひとり壇上にあがりだんだんと背骨の全体像が見えてくるわけです。

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続いて肋骨、肩甲骨、胸ビレ、背びれを子どもたちにひとつずつ渡していき壇上で組み立てていきます。

だんだんイルカに見えてきて子どもたちもワクワクしてきたのが伝わってきました。

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今回「骨パズル」で使用するスナメリは仙台湾にもやってきます。

子どもたちにとって思ったより身近に存在しているイルカなのです。

その本物の骨を使って組み立てるのはかなりすごい経験だと思いませんか。

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最後に完成したスナメリ全身骨格標本を前にみんなで記念撮影をして「イルカの日」は終了。

翌日からも予定がつまっておられながら丸山先生は子どもたちからの質問に時間の許す限り答えてくれました。

後日になりますが子どもたちはからはもっとじっくり話を聞きたかった、骨をさわりたかったという声がありました。メンバーの聞いたところによると職員室で先生方にイルカのことを楽しそうに話していた子どもたちもいたそうです。

鶴見大学ボランティアと丸山先生のコラボレーションで開催された大谷小学校「イルカの日」は確かに子どもたちの心の中に何かを残せたのかもしれません。

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番外編

大谷小学校での初日を終え宿舎にて新人の片桐君は宿舎でパソコンに向かっておりました。

今回初参加ながら会計を引き受けもくもくと作業に勤しんでいる彼の姿は古参メンバーも脱帽でありました。

                                             石川達哉 記

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