こんにちは。ドキュメンテーション学科・書誌学コース教員の久保木です。
9月9日(火)に、奈良県天理市にある市立福住中学校で、

「和歌の魅力について考えよう」
「昔の本に触れよう」

という出張講義を行なってきました。
同校のHPでも、早速紹介されています。

もう1年近く前になりますが、鶴見大学図書館所蔵の貴重書の中から、新古今和歌集の新出の1首が発見され、全国的なニュースとなったことがありました。
例えば、こちらの記事などです。
(このブログでも取り上げたかったのですが、タイミングを逃してしまいました…)

「新古今和歌集に幻の一首 800年以上埋もれたまま」(朝日新聞デジタル、2013年10月4日)

今年の夏休みに、福住中学校で、この新聞記事を活用した課外授業が実施され、生徒の皆さんが、久保木宛に、たくさんの質問のハガキを送ってくれたのでした。
これは、とてもうれしいことでしたので、指導にあたられた、同校の宮久保先生とご相談し、せっかくですから、久保木が同校にうかがって、皆さんの質問に直接お答えましょう、ということになりました。

生徒の皆さんからの質問は、例えば、

「どうして新古今集は、成立したあとになっても、長々と改編作業が続けられたのですか?」とか、

「本歌取りは、いわゆる”パクり”じゃないのですか?」とか、

「昔の歌人たちは、自分の知らない事柄が歌題として出された時でも、どうして歌を詠めたのですか?」とか、

「言いたいことがあれば、普通に文章で書けば済むはずなのに、どうして和歌が必要とされ、大切にされたのですか?」とか、

「百人一首を覚えたり、勉強したりすることは、私たちが大人になった時、何の役に立つのですか?」とかと、

なかなかに難しい、本質を突くようなものばかりでした。
これは果たして一体どう答えたものかと、かなり悩む質問もありましたが、自分なりに調べたり、考えたりしたことを、伝えてきました。
皆さん、とても真剣に聞いたり、メモを取ったりしてくれて、非常にやりがいのある授業でした。

また、こうした、質問・回答、の時間だけではもったいないので、ドキュメンテーション学科などが所有している写本や、その断簡や、木版本といった、150~800年ほども前に作られた古典籍を、海外旅行用のトランクケース一杯に詰めて持参し、生徒の皆さんに、自分自身の手で、直接扱ってもらう時間も設けました。

Fukusumi01_2

Fukusumi02

Fukusumi03

一般的には、大人でも触れる機会のないような、巻物や冊子本、また、かつて藤原定家が所持していた写本(の一部分)などを手にして、皆さん、喜んでくれたようでした。
これを機会に、古典文学や、歴史、書物文化、さらには人文学全般に対する関心を、少しでも高めてくれるようでしたら、こんなにうれしいことはありません。

なお、講義は午前中で終わり、そのあと、学校給食をごちそうになってきました。学校給食をいただくのは、実に30年ぶりでした(笑)。

谷口校長先生、宮久保先生をはじめとする先生方、また生徒の皆さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。

*****

鶴見大学文学部では、こちらのように、バラエティーに富んだ出張講義をご用意しています。

2014年度 鶴見大学文学部 出張講義一覧

基本的には高校生の皆さん向けの内容ですが、今回のように、中学生の皆さん向けに実施することもできますので、ぜひともご相談下さい。

また、本年度から2年間、神奈川県と、神奈川県立図書館と、鶴見大学図書館とが協力して、県内の小学生(高学年)の皆さん向けの、和本セミナーも実施しています。

「昔の本にさわってみよう!」

こうした出張講義や、セミナーなどを通じて、大学生よりもう少し若い世代の皆さんや、もっと若い子供たちに、人間が、人間らしく生きていくために、不可欠な、人文学の重要性や、楽しさ、面白さを、ぜひとも実感、体感してもらいたいと考えています。

*****

もうひとつ、ブログのひとつ前の記事にありますように、9月14日(日)に、今年最後のオープンキャンパスがあります。
鶴見大学文学部や、ドキュメンテーション学科に少しでも興味を持ってくれたようでしたら、ぜひとも参加してみて下さい。

ドキュメンテーション学科ホームページ

日時:2014/09/10 15:53鶴見大学

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