暦の残りも少なくなりました。
「軸露わに」「軸のもとまでまきよせて」などの言い回しが残っております。
巻子本の暦が用いられた頃の話です。
木々がすっかり葉をおとしてしまうのも間近。
おもしろい風景に出会いました。
常磐木の緑と、桜紅葉と、銀杏の黄葉が並んでいます。
これからますます寒くなります。
万全の体調で冬を乗り切ってください。
なお、日本文学会秋季大会においでくださった皆様、
遅ればせながら心より御礼申し上げます。
では新しいカレンダーを用意しましょうか。
「御経に似てゆかしさよ古暦」(蕪村)
こちらは、折本の暦です。
期せずして書誌学に及びました。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
秋に収穫し、冬の間食べることの出来るものがいくつかあります。
(「秋収冬蔵」が思い浮かべば、上々)
栗は、そのひとつ。
記紀万葉の昔から好まれ、中国では詩経秦風に出てきます。
派手に舌へ響く味ではありません。
噛みしめれば、穏やかな甘さがじわりと伝わります。
(人も、かくの如き方を担当者は評価します)
源氏物語にも書かれていますので、お調べください。
江戸の昔は、丹波が名産地でした。
現在、品種が多様化し、あちこちで栽培されています。
加工品もさまざま。
到来物の栗蒸し羊羹にご登場願いました。
羊羹には青磁、が漱石の鉄案です。しかし今回は青手九谷としました。
小皿は、それほど古くありません(勿論、羊羹よりはうんと古い)。
さて、週末(30日)は、日本文学会秋季大会開催。
ご来場をお待ちしております。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
紅葉が見頃、柿は食べ頃、さすがに風が冷たくなりました。
稲の刈り取りも、ほとんど終わっているでしょう。
山里に鹿の鳴く音が響く季節でもあります。
(聞かれたこと、ありますか)
11月30日(土)の日本文学会秋季大会では、源氏物語の話題が2本。
そこで、室町末の絵を出してみます。
(勿論、これも研究の種)
さて絵の上の方、刈り取られた田と鹿が金泥で描かれています。
この図柄が出てくると、夕霧巻か手習巻のどちらかです。
ついでに、明治の源氏絵も1枚。
建物も、見晴らしも、上々ではありませんか。
では、日本文学会にてお目に掛かりましょう。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
台風の続いた今秋、皆様ご無事でお過ごしでしょうか。
霜月を迎えて、ようやく秋晴れに恵まれるようになってきました。
さて、今年も鶴見大学日本文学会秋季大会のご案内です。
日時:11月30日(土)14時〜
会場:鶴見大学記念館 記念ホール
https://www.tsurumi-u.ac.jp/site/about/accessmap-index.html
【研究発表】
海野亜理沙(本学大学院 博士前期課程)
「光忠・隆典筆写源氏物語について」
河田翔子(本学大学院 博士後期課程)
「勧修寺本「古今和歌集注」について」
【講演】
佐々木孝浩(慶應義塾大学 教授)
「書物としての『源氏物語』―本が教えてくれること―」
本学の大学院生二名の研究発表に続いて、
慶應義塾大学斯道文庫の佐々木孝浩先生がご講演くださいます。
この機会をぜひお見逃しなく。
もちろん、ご予約・入場料等は不要、どなたでもご来聴いただけます。
『源氏物語』や古今集にご興味のある方、
書物の成立や書写、注釈などの文化にご関心をお持ちの方、
ぜひお誘い合わせの上、賑々しくご来駕ください。
皆様のお越しをお待ちしております。
鶴見大学文学部 日本文学科研究室
へそを曲げて、変わったことをするのではありません。
(力におもねるよりはいいと思いますが)
昔、アルファベット(で綴られたもの)を、蟹行文字と呼びました。
日本文学を山ほど読んだら、気分転換に外国語もどうぞ、と言うことです。
英語も少しは出来たほうがよい、と思われるのはまことに結構。
でも、日本文学科の学生(もしくは教員)だからと言って、
日本文学の英訳や日本文化紹介の英文に飛びつくのはいかがなものか。
それは筋の悪いことのように、担当者には思えます。
結局、期待したほどの成果は上がらないでしょう。
平易明晰で質のよい英語の書物がお薦めです。
先日、こんな表現に出会いました。
・・・It was a purpul wine, so cool that the cup into which
it was poured became covered with vapory dew・・・
冷えた葡萄酒を注ぐと、器が水滴で覆われるところです。
担当者は下戸ながら、うまい、と思います。
さて、誰の作品でしょう。
丁寧に皮革で装幀し直したものが出典。
日本にも縁の深い小説家が、1887年に出版しました。
背文字がありませんので、お調べください。
手前の時計は、ほぼその頃の古強者。
勿論、いつもの小道具です。
次は、日本文学会のお知らせ。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
今日は十三夜。樋口一葉の小説にもあります。
(まさか、読んでいない、とは仰らないでしょうね)
栗名月・後の月とも申しております。
しかし、あいにくの雨模様となりました。
「対雨恋月」と平安時代の文人ならば、詩のひとつも作ったでしょう。
なじみの和菓子屋さんでは、栗名月にちなむ新作を出しました。
月見団子も店頭に出ていましたが、売れ行きは今一つ。
この空模様では、仕方のない話です。
担当者が求めたのは、うさぎの薯蕷饅頭。
この、ひょうきんな顔つき!
一葉に戻って、読んでいらっしゃらない方は、これからどうぞ。
秋の夜は、長いのです。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
と申しましても、超自然的な秘密があるわけではありません。
また、信仰が起こす奇跡でもありません。
中世ヨーロッパの聖典に驚いた、と言うことです。
図書館にて開催中の展示を御覧ください。
彩色羊皮紙写本のうちいくつかは国際的評価に値するそうです。
文字の卓抜なデザイン、彩色の鮮やかさ、羊皮紙の風合い・・・
和古書にはない、圧倒的迫力です。
断片とは言え、縦80センチ以上の大物(これは未紹介の資料です)。
その全体をご想像ください。
なお、数百年間前のミサ曲が、本日(5日)図書館ホールに響きました。
西間木先生(東京芸術大学)の復元された音楽です。
時空を超えて書物を伝える、信仰の力。
一旦絶えてしまった歌声を書物の中から蘇らせる、学問の力。
洋の東西を問わず、すばらしいものはすばらしい。
鶴見大学文学部日本文学科研究室