2019年7月 6日 (土)

鮎【お知らせ】

清流に釣り竿をしならせる太公望の面々、夏の風物詩です。

(幸田露伴に太公望の小品がありますので、ご一読ください)

遠い昔、担当者がまだ子供であった頃、鮎釣りにつれて行かれました。

早々に仕掛けを壊してしまい、1尾も釣れず。

子供には、鮒や鮠がお似合いでしょう。

と言うことで、和菓子の話。

鮎の焼き印があっさりと押された薯蕷饅頭です。

Photo 器は高麗青磁、気品高い白象眼を選びました。13世紀くらいでしょうか。

少しカセがあるのは惜しまれます。

さて、若鮎のような高校生の皆さん、オープンキャンパスのお知らせです。

7月14日(日)午前10時から始まります。

学食体験・女子学生寮見学ツアー・小論文面接対策講座など、盛りだくさん。

本学自慢の図書館では、令和の新年号に関するミニ展示もございます。

緑深い学園へお出かけください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月 3日 (水)

静かな花【研究室から】

豪華、軽快、重厚、可憐・・・花の印象は多彩です。

大ぶりで変化に富む花ですけれど、いかにも静謐な風情は紫陽花。

「よひらの花」とも呼ばれます。

先日、近郊の名刹へ花探訪に出かけました。

背後の山全体が紫陽花に覆われ、なかなかの迫力です。

有名な某寺と異なり、拝観料の徴収がないのもまことに結構。

Photo 古い石塔を包むように咲いておりました。

さて、7月27日(土)は、日本文学会春季大会です。

こちらも入場無料ですので、是非お越しください。

14時開会です。内容は次の通り。

1〈総会〉

2〈研究発表〉

「泣血哀慟」の語義と歌の主題  細野 奈央(本学大学院博士後期課程)

3〈講演〉

古代和歌表現の基層  新沢 典子(本学教授)

では、会場でお待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年6月19日 (水)

水無月【お知らせ】

来る6月23日(日)は、オープンキャンパス!

入試や奨学金、卒業後の進路について詳しく御案内します。

この季節、鮮やかな緑とアジサイの花が大学のあちこちに見られます。

アジサイにつきましてはいずれ、今回は食べ物の話。

その名も「水無月」と言う和菓子があります。

関西の風土に根ざしたものですが、近年関東でも見かけるようになりました。

三角のういろう生地に小豆を載せた、簡素で潔い印象です。

通常白ういろうを使います。黒糖仕立てはちょっと珍しい。

Photo 皿は古染付、400年以前の作でしょうか。

ついでに申しますと、谷汲山華厳寺門前で三角のういろうを売っています。

昔は、蒸したてのういろうを糸で切り分けておりました。

(そうです、ういろうは蒸し菓子)

華厳寺は勅撰集にも出てきますので、お探しください。

では、会場にてお待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年6月15日 (土)

青雲のゆくえ【研究室から】

若き日の夢。

輝かしく大きな明日を思い描くことは、青春の特権です。

田舎の家を片付けておりましたら、古い写真が出てきました。

裏に「若森村 川瀬/浅草東村 佐藤 共二大垣英語学校生徒」そして

「明治廿一年二月十九日記之」の墨書識語があります。

ふたりの少年は10代半ばでしょうか。

Photo 「大垣英語学校」は宣教師によって創られた教育機関。

現在、その系譜を引く学校は存在しないようです。

なぜ担当者の家にこの1枚が伝わったのか、全く分かりません。

明治21年(1888)の少年達は、どんな未来を夢見たのでしょう。

「若森村・東浅草村」ともに岐阜県大垣市近郊の旧地名です。

ひょっとすると、ご子孫かご親戚のかたがおいでかもしれません。

さて、水無月23日13時より、オープンキャンパス開催。

あなたの夢はなんですか。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年6月 3日 (月)

桑の実【研究室から】

緑の葉陰に小さな実が隠れています。

今時、桑の実を食べる方はいらっしゃるでしょうか。

正岡子規の好物でありました。

『飯待つ間』によると「何升」も食べたそうです。

子規は、柿や真桑瓜も大好きでした。

柿はともかく、真桑瓜の淡泊な味と高い香りは捨てがたい魅力。

名産地美濃国真桑村で、現在も在来種が栽培されているのかどうか。

それはそれ、まず李朝の白磁壺に桑を一枝挿しました。

Photo 丸々と愛らしい器ではありませんか。

敷板は、馴染みの和菓子屋さんから頂戴しました。

菓子作りの器具が古くなり、解体したその一部だそうです。

さて、6月8日(土)・9日(日)に近世文学会が本学で開かれます。

江戸文学資料の展示も、10日(月)まで行っております。

華やかな書物やまた貴重資料が目白押し、

展示ケースからあふれんばかりのお披露目です。

是非ご高覧願います。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年5月22日 (水)

緑のキャンパス【お知らせ】

風薫る5月、26日(日)はオープンキャンパス!

多彩な企画が目白押しですので、是非お越しください。

新沢教授が万葉集を題材に模擬授業を行います。

話題の新年号「令和」の出典とされる箇所が取り上げられる予定です。

この「令和」、万葉集を遡って文選にも現れます。

実は、「令」と「和」が同じ文脈中に出てくる古典は、かなり多いのです。

ひとつお目に掛けます。

Photo 第5行、上から2番目が「令」、7番目が「和」。

(さて、何と言う作品でしょうか)

みなさんも「令和」をあちこちから捜してみては。

100例以上見つかるかと思います。

では、緑のキャンパスでお待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年5月17日 (金)

源氏物語の五月【研究室から】

日一日と緑が濃くなる初夏のこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

源氏物語には、5月を描いたところがいくつか出てきます。

よく知られているのは、やはり花散里の巻でしょうか。

「二十日の月、さしいづるほど」とありますので、ちょうど今頃です。

江戸の文人は巻の風情を「猶有杜鵑悲往事 橘花香処一声啼」と詠じました。

南北朝の抄出写本では、次のようになっています。

Photo 一部分をお示ししました。

こんな本で読めば、また格別。

何で読んでも変わらないではないか、と仰る声が聞こえてきそうです。

もし、あなたが人も羨む大富豪でいらっしゃるならば、

少しくらい安手でしみったれた学問でも、まあよろしいでしょう。

しかし、一生遊んで暮らせるほどの資産をお持ちでなければ、

せめて学問くらい贅沢にしようではありませんか。

すてきな書物は、贅沢のひとつです。

さて、5月26日(日)は、オープンキャンパス

午後1時より開催します。

図書館ではいろいろな貴重書を展示しますので、是非おいでください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年5月 9日 (木)

ものは器で【研究室から】

爽やかな季節となりました。ますます勉強がはかどるでしょう。

それはそれとして、和菓子を頂戴しました。

何と取り合わせたものか、あれこれ思案。

結局、交趾焼の小皿を取り出すこととなりました。

いかにも清朝らしい龍の刻紋に透明な黄釉が掛けられています。

Cimg0011_2 「ものは器で食わせる」の言い回しが、落語のあちこちに出てきます。

お好みの器で季節の食材を楽しみましょう。

百年二百年を経た器であれば、なお結構。

落語で古い器と言えば、いろいろありますが、まず「猫の皿」。

古今亭志ん生が味のある茶屋の親父を語っておりました。

それはよく知られていますので、古伊万里の犬の皿はどうでしょう。

井伏鱒二『荻窪風土記』をお読みあれ。

高麗梅鉢の皿と猫、古伊万里の食器と犬。

好一対かと。

なお、新元号「令和」にちなみ図書館でミニ展示を開催しています。

わずか3点ですが、古活字版は名品です。

また、番付風一枚物は珍しい資料でしょう。是非御覧ください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年4月27日 (土)

書物の美【研究室から】

藤の花が揺れ、躑躅も鮮やかに咲く季節。

まことに「春のわかれは藤つつじ」(佐藤春夫)です。

さて、前回の続きのようなお話。

本は、もちろん中味、つまり内容が大切です。

しかし装丁や料紙、活字そして挿絵もまた、無視し得ない要素でしょう。

秀抜な造形感覚により周到念入りに作られた書物は、理屈抜きで素晴らしい。

Photo 100年以上前に英国で作られた本です。

(下の時計もほぼ同じ頃の製作で、これは脇役。

 時間を忘れて読書する、と演出したつもり)

縦横比が普通の本とは少し違っていて、洒落た姿をしています。

丁寧な仕上げのモロッコ皮も洗練の箔押しも、十分に魅力的です。

「文学研究にとって書誌学はどんな意味を持つか」を問うのではありません。

(書誌学的知識なしに高度の国文学研究は不可能ですし)

感動すべきものに素直な反応のできない方が、もしいらっしゃるとすれば、

失礼ながら、人として基本的な何かを欠いておられるのではないでしょうか。

暴論だ、のご意見は十分承知の上で、かくの如く申し上げました。

さあ、連休中にたくさん本を読みましょう。

なるべくならば、美しい本で。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年4月16日 (火)

磨く、鍛える【研究室から】

花吹雪の次は新緑。

楠や欅の若葉が陽光に輝く日も間近です。

その前の時期、白く飛ぶ綿毛をご存じですか。

と言っても、蒲公英(何と読むのでしょう)ではありません。

柳絮です。

Photo 実物はまた別の機会として、貞政少登先生の作品をご紹介。

白く胡粉で文様を刷った唐紙風の料紙に、淡墨が冴えています。

(撮影の技が拙劣、すみません)

かなりの長鋒を自在にこなして書かれました。

文字の組み方・墨色・空間処理など、練りに練った作品でしょうけれど、

出来上がりは律動的で軽妙に、どこまでも楽しそうに。

書に限らず絵でも彫刻でも工芸でも、造形のおもしろさに反応できる感性を、

大学生の間にしっかり磨き、鍛えてください。

学業と同じくらい大切なことです。

社会人となっても、心豊かな日々を送れますから。

鶴見大学文学部日本文学科研究室