2018年12月 5日 (水)

輝く音楽【研究室から】

今日は、モーツアルトの命日です。ご存じでしたか。

明快な構成、繊細で陰翳に富む旋律、絶妙の転調・・・

彼の音楽を聴くことは、大きな喜びです。

音楽史上最高の神童は、亡くなるまでその楽才を輝かせていました。

と言うより、才能を伸ばし続けた、のではないでしょうか。

十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人、の皮肉とまったく逆です。

(講師で俊英、准教授で知恵者、教授になったらただの人、とは申しません)

天才を偲んで、その頃作られた器をご紹介します。

Photo ひょっとすると、バッハくらいまで遡るかもしれません。

捻文輪花の古伊万里染付鉢、お菓子は添え物です。

お定まりのレクイエムを出さない、このひねくれが担当者の身上。

さて、今週土曜には日本文学会秋季大会がございます。

どうぞお越しください。お待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年11月19日 (月)

鶴見日本文学会のご案内

日ごとに寒さの増してくる折柄、いかがお過ごしでしょうか。

去りゆく秋を惜しみつつ、今年も鶴見大学日本文学会秋季大会のご案内です。

日時:12月8日(土)14時〜

会場:鶴見大学会館 地下メインホール

講演:加藤弓枝(本学准教授)「正保版『二十一代集』の変遷」

   金 文京  (本学教授)「森川許六『和訓三体詩』について」

   ※予約不要、来聴歓迎

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もちろんどなたでもご来聴歓迎、ご予約等は一切不要です。

どうぞ皆様お誘い合わせの上、賑々しくご来駕ください。

今年度から本学に赴任された加藤先生と、今年度で残念ながら本学を退官される金先生、

お二人揃ってのご講演が伺える記念すべき機会です。どうかお聴き逃しなく。

※なお、図版は(例によって)日本文学科ゆかりのあの方から頂戴いたしました。

 これはもしや、とご興味を持たれた方、どうぞ日本文学科の合同研究室へ、

 あるいは当日、日本文学会の会場にてお声掛けください。

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鶴見大学文学部 日本文学科

2018年11月13日 (火)

ひとからひとへ【研究室から】

と申しても、物騒な感染症のことではありません。

人が愛玩し育てたものについて、です。

器であれば伝世品。掘りの手(発掘品)と対比されています。

たとえ粗末な碗であれ、猫の餌入れみたいな皿であれ、

長い年月、人の手を経たものには不思議な艶やかさが備わります。

(野趣横溢、新鮮素朴な掘りの手も、勿論魅力的です)

風景も同様、手間暇かけて幾世代も受け継がれた里山や庭の美しさ!

凝り過ぎた、あるいは媚びたお庭は、思わせぶりで嫌みですけれど。

ともあれ、ひさしぶりに谷戸の地形を生かした庭園へ。

Photo しばらく前に載せました雑木林の風情と比較してください。

時折ししおどしの音が、のどかに聞こえてきました。

さて、日本文学会秋季大会は目下鋭意準備中です。

御案内は次回といたします。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年11月 1日 (木)

晩秋【研究室から】

神無月も昨日で終わり。

源氏物語には十月の場面が多く描かれました。

華やかな紅葉の賀、光源氏の住吉詣、薫が出生の秘密を聞くのもこの月です。

神無月を惜しみ、帚木巻から左馬頭の述懐をご紹介。

Photo 「神無月のころほひ」ある上人に誘われ、

月の美しい夜宮中から一つ車に乗ってみれば、

なんと行く先は自分の愛人の家。

上人(「しょうにん」と読んではいけません)と色めいたやりとりをする。

左より2行目、上人(殿上人です)が左馬頭の愛人に歌を詠みかけ・・・

あとはご自分でどうぞ。

江戸時代前期の写本、秋草の金泥下絵が洒落ています。

大学ではこれから、いろいろな書類や手続きが必要となるでしょう。

特に4年生のみなさんは、遺漏のないよう気をつけて。

寒さに向かう時節がら、体調管理も大切です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年10月19日 (金)

十三夜【研究室から】

明後日は旧暦の9月13日、栗名月です。

8月15日の芋名月を眺めた方は、栗のほうもどうぞ。

一方だけ賞美することは、片見月または片月見と言われました。

(この両語、どちらかがmetathesisを起こしたのではないでしょうか)

十三夜をめでる習慣は、平安時代(10世紀)に成立しています。

では、例によって和菓子と器を。

Photo 織部の小皿に薯蕷饅頭を載せています。

薄の焼き印と月、緑は野原でしょうか。

さて、明日から大学祭(紫雲祭)が始まります。

最終日が十三夜ですので、月を眺めつつの家路も風流かと。

そうそう申し忘れました。

まさか『十三夜』を読んだことがない、とは仰らないでしょうね。

樋口一葉のこの小説を読むと、益田太郎冠者の「癇癪」を思い出します。

桂文楽が絶品でした。

ここから近代の大茶人鈍翁へ話を延ばすこともできますが、それはまた。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年10月 7日 (日)

武蔵野【研究室から】

青空が一段と深いこの頃、雑木林や丘陵を歩くのはとても楽しいことです。

関東の木々は派手な色づき方をしません。

地味で落ち着いた味わいを見せてくれます。

平安時代の都人士は、錦繍燦爛の紅葉を賞翫しました。

武蔵野の詩趣の発見は、明治以降だと思います。

日本近代文学の小さからぬ功績でしょう。

Photo小説や詩の中を散策してみてはいかが。

(早い話が、本を読め、と言うこと)

たくさんの書物を読んでいる、というのは、

社会が日本文学科の学生さんに期待することのひとつです。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年9月24日 (月)

月に村雲【研究室から】

今日は旧暦8月15日、中秋の名月を御覧になりましたか。

こちらでは、雲間に見えたり、隠れたり。

芋名月とも言いますが、団子を供えました。

(なおこの「芋」は里芋です)

松皮菱デザインの織部皿に載せて。

Photo お供えの後、月見団子をしっかり食べました。

きな粉でも餡でもありません。

山葵醤油で。これがなかなかいける味です。

味ついでに、酢橘(スダチ)を貰いましたので、これも見参。

取り合わせの焼き物は、室町時代の陶片です。

瀬戸縁釉の爽やかな色合いが好もしい。

Photo_2 秋は、学びの季節でもあります。

卒業論文と格闘中の人は、これから一山も二山も越えなくてはなりません。

日本文学会賞めざして、もう一歩!

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年9月 9日 (日)

重陽【研究室から】

今日(9月9日)は重陽の節です。

名前の由来については、お調べください。

中国では、古くから茱萸を髪に挿し丘に上って除災を願う習慣がありました。

本朝では、菊にちなむ詩歌がたくさん作られます。

それはそれといたしまして、先日の菓子ならびに焼き物の続きです。

(何人かの方からお褒めの言葉を頂戴しましたので、調子に乗って)

黄瀬戸の皿と季節の味の取り合わせ。

小皿は菊の意匠、安土桃山~江戸初期の黄瀬戸です。

艶やかな栗蒸し羊羹を載せました。

Cimg8049淡い緑色の胆礬(たんぱん)が、いかにも洒落ています。

なお9月17日は、オープンキャンパス。

大学構内もご本山の境内も、秋の風情が色濃くなっています。

是非お越しください。お待ちいたしております。

上々の晴天となることを期待しつつ。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年8月28日 (火)

日はつれなくも【研究室から】

暑いですね、秋の風はどこを吹いているのでしょう。

とは言え、朝夕はさすがに涼しく虫の声も高くなりました。

馴染みの和菓子屋曰く、「ビールの旨い時は菓子が売れません」

これからが甘い物の美味しい季節です。

南蛮文化の香りを伝える菓子と安南の器とを取り合わせてみます。

金平糖は16世紀末、海を越えてやってきました。

織田信長は、最も早く金平糖を味わった日本人のひとり。

安南の香合もそのころの焼き物です。

(「安南」はどこの国でしょうか)

Photo 乳白色の肌に滲む染付、模様は明景徳鎮の青花に倣っています。

後ろの小風呂敷は貞政少登先生が作られました。

さて、9月17日(月)はオープンキャンパス。

本学卒業生の皆さんが、大学生活のあれこれを語ってくれる予定です。

秋の学園へ、是非どうぞ。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年8月10日 (金)

市井の愛書家【研究室から】

台風一過、涼しくなったかと思えばまたこの暑さ!

夏を過ごす最高の、とは申しませんが、最良の方法の一つは、読書です。

普段読まない(読めない)本を休みの間に、是非どうぞ。

さて、今年は絵師鰭崎英朋の没50年です。

英朋の名前をご存じの方は、近代文学もしくは近代絵画の相当な通でしょう。

鏑木清方と共に小説の挿絵を多く描きました。

特に泉鏡花の作品では、単なる挿絵以上の出来映えを示しています。

清方とは月岡芳年の孫弟子、仲のよい友達でした。

しかし一方は画壇の巨匠と仰がれ、一方は町絵師として終わることに。

清方の場合彼の文学趣味が画業に幸いしたでしょうし、

英朋の職人気質と並外れた器用さが、大成を妨げたのかもしれません。

(このあたりの機微は、別の機会に)

趣味の将棋は、関根金次郎名人に教わって有段の腕前。

書も趣味の一つであり、日本画家らしく仮名の上手、隷書また見事です。

古書籍を集める趣味もありました。

しゃれた蔵書印を使っています。

Photo この印が押された本にはなかなか出会いません。

なお、英朋は将棋の駒の字を書いています。

凝った隷書で、これも見かけることは少ないと思います。

贅沢は申しませんので、英朋銘虎斑島黄楊の彫り駒が一組ほしい。

担当者の夢です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室