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2020年4月12日 (日)

卯月ばかりに【研究室から】

落ち着かぬ毎日です。

気長にはやりやまいの収束を待ちましょう。

さて、数多くある源氏物語の4月から、蓬生を取り上げます。

赤鼻の姫君がこれほど魅力的に描かれた巻はありません。

荒れ果てた常陸宮邸に光源氏を待ち続ける姫君のほか、

主人思いの侍従、頼りがいのない兄禅師、悪役の叔母、露払い惟光など、

多彩な脇役が登場し、結構波瀾に富んでいます。

肝腎の光源氏は、姫君のことなどすっかり忘れていました。

卯月ばかりの夕月夜、偶然常陸宮邸を通りかかります。

「大きなる松に藤のさきかかりて、風につきてさと匂ふがなつかしく」

Photo 明暦版源氏小鏡より採りました。

小鏡に絵の入った最初の版です。

絵が本文と一緒の面にある形式は、珍しい。

ともあれ外出を控えるわけですから、まず読書。

この閑日月に沢山読めれば、災い転じて福となす、でしょう。

鶴見大学文学部日本文学科研究室