2019年10月 1日 (火)

灯火親しむ【研究室から】

秋の夜長、書物を友とする喜びは格別、と古人も言いました。

勿論、昼間の読書でも結構です。

本は内容のおもしろさに加え、装丁・料紙・挿絵など、楽しみ方満載。

特に木口木版の精緻華麗さには、どなたも魅了されるでしょう。

Photo A.テニスンのThe Princessから選びました。

1884年(明治17年)の出版です。

エッチングではなく木版画で、これほどの細密描写!

この年、森鴎外は独逸へ出発し、

国内では、仮名垣魯文や三遊亭円朝が活躍していました。

なお、図書館にて珍しい西洋古典籍の展示を開催中。

鶴見大学は、和古書のみならず洋書のコレクションも、高水準です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年9月16日 (月)

目にはさやかに見えねども【お知らせ】

秋風を実感するころとなりました。

野の花が可憐な姿を見せる季節でもあります。

平安時代の歌びとは女郎花を好みました。

万葉では、萩がよく詠まれます。

Photo 萩の魅力をカメラで捉えるのはとても難しい、と痛感。

さて、9月29日(日)は年内最後のオープンキャンパスです。

是非おこしください。

午後1時より、始まります。

キャンパスツアー・個別相談・在学生の話など、多彩な催しを企画。

万葉集に関する展示と解説を予定しておりますので、お楽しみに。

秋の学園でお待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年9月 2日 (月)

追い込み【研究室から】

夏休みは、いかがでしたか。

いまだ目標に届いていない方は、最後の追い込み。

図書館でも学生さんの姿を多く見かけるようになりました。

本欄の担当者は、原稿の遅れに青息吐息です。

さて、爽やかな秋とは言えませんが、それでもしのぎやすくはなりました。

学問芸術の季節にふさわしく、風格と気品の書をひとつ。

Photo_5 松煙淡墨の「照澄」、少登先生の作品です。

この言葉は、秋ののびやかで明るい気分をあらわします。

奥行きと色彩感、隅々まで行き届いた造詣的配慮、しかも自然。

印の選択がこれまた絶妙、冴えた刻風の中村蘭台を使われました。

(印に無関心な書家が増えているようで、よろしくない風潮かと思います)

一目で蘭台と分かった方には、何か賞品を出しましょう。

拙劣な画像作成技術ゆえ、作品の魅力を十分お伝えできないのが残念です。

では、秋の大学でお目に掛かります。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年8月18日 (日)

風流【お知らせ】

言ふまいと思へどけふの、なんぞは古い言いぐさです。

暑い盛り、万全の体調管理で乗り切ってください。

今回は、ちょっと珍しい文房具でご機嫌を伺います。

(芥川龍之介ならば、「ちょいと珍しい」と書くでしょう)

李朝の韻筒です。

おみくじを引く時のように振ると、小さな竹の札が出てきます。

そこに書かれた文字を漢詩の韻とする、なかなか風流なもの。

文人たちが使ったのでしょう。

李朝は漢文学の盛んな時代でした。

Photo 昔、漢文の授業でこれを振って学生を指名した先生がいらしたとか。

風流な授業ですね。

(難しい問題を当てられた学生さんは、お気の毒)

さて、8月25日(日)はオープンキャンパス

午前10時より開催、楽しい模擬授業や進学相談など、多彩です。

自慢の図書館では、年号に関するミニ展示があります。

「つるたんカフェ」へも是非どうぞ。

爽やかな風が吹くことを期待して。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年8月10日 (土)

夏こそ【研究室から】

この続きには、何がふさわしいでしょう。

「旅行」・「よく冷えた麦酒」(未成年の方は駄目)あるいは「読書」、

それとも「アルバイト」でしょうか。

暑いと、つい冷たい飲み物に手が伸びますが、結局調子を落とすことに。

一服立てて、でなくともせめて緑茶を一杯。

勿論、涼しげなお菓子を添えて。

Photo 琥珀羹です。器は李朝の渦三島、16世紀でしょう。

研究室の廊下はひっそりとしています。

教員は調査や執筆にいそしむ夏(の、はずですが)。

ではみなさま、長いお休みの成果を期待しております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月30日 (火)

夏のオープンキャンパス【お知らせ】

やっと梅雨明け。

これからが本格的な暑さです。体調管理を万全に。

8月4日(日)は、オープンキャンパス

午前10時から始まります。

緑濃い鶴見に、是非お越しください。

学食体験で、ランチ(無料)をどうぞ。

さて古典の8月はもう秋、8月15日を中秋の名月と呼ぶゆえんです。

源氏物語から8月の名場面を選ぶとすれば、野分の巻は有力候補でしょう。

かわいらしい小型本源氏小鏡の挿絵を御覧あれ。

(文庫本くらいの大きさです)

Photo 簀に立つのは光源氏、琴を弾くのは明石の御方。

風に揺れる庭の草花は、野分の激しさを表しています。

(しばらく前、台風が一荒れしました)

オープンキャンパスでも古典籍のミニ展示を行いますので、御覧ください。

年号に関するちょっと珍しい資料も出されます。

そのほか、個別相談・AO入試説明会・模擬授業など盛りだくさん。

では、大学でお目に掛かりましょう。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月23日 (火)

研究発表と講演【お知らせ】

はっきりしない空模様続きです。

日本文学会春季大会の御案内をいたします。

7月27日(土)14時開会。

総会に続き、研究発表と講演の2本立て。

来場大歓迎、どなたでもどうぞ。

入場無料・予約不要です。

〇研究発表

「泣血哀慟」の語義と歌の主題   細野 奈央(本学大学院博士後期課程)

〇講演

古代和歌表現の基層   新沢 典子(本学教授)    

さて、毎度のことながら、学問の基本は書物です。

しばらくぶりに洋書を取り出しました。

160年ほど以前の、ワーズワースの詩集。

重厚にして豪華、凝った皮装は呆然と見とれるばかり。

手前のペーパーナイフは、いつもの小道具です。

ラテン語でLUX ET VERITASと刻まれています。

Book_and_knife1 LUXは光、VERITASは真理です。

光と真理、いいですねえ。

が、LUXには暴露という意味もありますし、

VERITAS ODIUM PARIT(真理は憎悪を生む)とも申します。

(ワーズワースと国木田独歩についてお話しする余裕がなくなりました)

ともあれ、日本文学会をご贔屓に。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月19日 (金)

遠く馨る【研究室から】

夏休みが近づきました。

学業の進み具合はいかがでしょう。

(担当者は日頃の怠惰が積もり積もって原稿の催促に悩まされ・・・)

昔々、さる大家のたまわく「若い頃、よく遊んだものだ」

続けて、「遊びを必要とするほど勉強したから」。

「遊び」の内容次第では、困ったことも起こるでしょう。

しかし「必要とするほど」には感心します。

と言うことを口実に、花探勝へ。

Photo_2 一面に花の広がる蓮池や蓮田も結構でしょうが、これは平凡な沢。

風に乗って遠くから高雅な香りが届きます。

湧き水が冷たいせいか、花の盛りはまだ先のようです。

さて、日本文学会春季大会が近づきました。

7月27日(土)午後2時開会。

研究発表(本学大学院生)と講演(本学教授)の二本立てです。

入場無料、どなたでも聴講出来ます。

「蓮の香や水を離るる茎二寸」(蕪村)

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月 6日 (土)

鮎【お知らせ】

清流に釣り竿をしならせる太公望の面々、夏の風物詩です。

(幸田露伴に太公望の小品がありますので、ご一読ください)

遠い昔、担当者がまだ子供であった頃、鮎釣りにつれて行かれました。

早々に仕掛けを壊してしまい、1尾も釣れず。

子供には、鮒や鮠がお似合いでしょう。

と言うことで、和菓子の話。

鮎の焼き印があっさりと押された薯蕷饅頭です。

Photo 器は高麗青磁、気品高い白象眼を選びました。13世紀くらいでしょうか。

少しカセがあるのは惜しまれます。

さて、若鮎のような高校生の皆さん、オープンキャンパスのお知らせです。

7月14日(日)午前10時から始まります。

学食体験・女子学生寮見学ツアー・小論文面接対策講座など、盛りだくさん。

本学自慢の図書館では、令和の新年号に関するミニ展示もございます。

緑深い学園へお出かけください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年7月 3日 (水)

静かな花【研究室から】

豪華、軽快、重厚、可憐・・・花の印象は多彩です。

大ぶりで変化に富む花ですけれど、いかにも静謐な風情は紫陽花。

「よひらの花」とも呼ばれます。

先日、近郊の名刹へ花探訪に出かけました。

背後の山全体が紫陽花に覆われ、なかなかの迫力です。

有名な某寺と異なり、拝観料の徴収がないのもまことに結構。

Photo 古い石塔を包むように咲いておりました。

さて、7月27日(土)は、日本文学会春季大会です。

こちらも入場無料ですので、是非お越しください。

14時開会です。内容は次の通り。

1〈総会〉

2〈研究発表〉

「泣血哀慟」の語義と歌の主題  細野 奈央(本学大学院博士後期課程)

3〈講演〉

古代和歌表現の基層  新沢 典子(本学教授)

では、会場でお待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室