久しぶりに鎌倉まで出かけました。
緑濃く,鶯はややくたびれた声。
永井路子先生の展示を見るためです。
小さなコーナーに原稿と初版本がならんでいました。
急遽準備して追悼の意を示すところに、地元の心意気を感じます。
本学の図書館にもいろいろ資料がありますので、是非展示を。さて、永井先生の話。
大きな眼がとても印象的な方でした。
昔、切支丹大名牧村政治(まきむら まさはる)について調べたことあり。
彼の関わった玉篇がおもしろいので、論文をひとつ書くつもりでした。
これを永井先生に申し上げますと、先生の大きな眼が輝きました。
政治の生涯及びその縁者のことを、詳しくお話されたのです。
史料の上を虫が這うように、とは先生の持論ですが、なるほどと納得。
作家としてのみならず、歴史家としての技量も恐ろしい水準です。
担当者が論文をお蔵入りさせたことは、申すまでもありません。
(どこかにノートが残っているはず)
明るく気さくな、お人柄でした。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
もちろん春ですが、明日あたり雪の心配もしなければ。
(以前ご紹介したとおり、春に降る雪を「残りの雪」と言いました)
それでも蝋梅が花盛り、早咲きの桜は蕾を開きかかっています。
明治の浮世絵師楊洲周延に『東風俗福づくし』があります。
蝙蝠・呉服など、フクと読む文字にちなんで描き上げた作品です。
高く薫る梅を背景に、あでやかな女性を描いた「馥郁」が佳品。
それはそれとして、馥郁たる蝋梅へもどりますと・・・なかなかの光景でした。
さて、残念なお話をせねばなりません。
歴史小説の分野で大きなお仕事を残された永井路子先生のご逝去です。
評論・随筆・学術的著作にも健筆を振るわれました。
以前、縦横に書き入れのある手沢の国史大系を見たことがあります。
すっかり綴じが緩んでおり、韋編三絶もかくやと思われました。
明るく飾らないお人柄を忘れることは出来ません。本学に来ていただいた折、おねだりしたサインです。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
永井先生につきましては、またいずれ。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
授業再開、憂鬱などとおっしゃってはいけません。
これから定期試験や卒論の口頭試問等々、年度末へ向けての行事が目白押し。
体調管理を怠らないようにしてください。
さて、あけましておめでとうございます。
ことしも日本文学科のホームページをご贔屓に。
初春らしく、お神酒と三宝で御祝いします。
三宝は牡丹唐草の蒔絵、大ぶりですが、雛道具でしょう。載せてあるのは、焼き芋ではありません。そっくりのお菓子です。
(店頭で見かけ、巧みな技と着想に思わず買ってしまいました)
隣の染付は、小山弘治さんの作。
お若い頃、まだ20代ではなかったかと思います。
絵付けのうまさに感心して、求めました。
(勿論,担当者も若かったのです)
では、本年もよろしくお願いいたします。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
あっという間に年の暮れ。
原稿に追われたせいもあり、今年は紅葉探訪に出かけられませんでした。
大学やご本山を歩いて、錦繍のなごりを惜しみます。
六号館の下、常磐木の中に色鮮やかな灌木がありました。境内からなじみの和菓子屋へ。
主人曰く「クリスマスにちなみ、栗を使った饅頭を作りました!」
クリスマスの饅頭は・・・と思い、せっかくのお薦めながら遠慮。
普通の栗饅頭を求めて帰りました。
根来の皿に載せてお目にかけます。気取らずたっぷりとした量感が好ましい。
室町時代の根来は、使いやすく温かみのある器です。
では、よいお年をお迎えください。
(もう一回更新するかも知れません)
鶴見大学文学部日本文学科研究室
錦繍の候、ここ鶴見でも紅葉が見頃を迎えています。
さて、今年度も、下記の通り鶴見大学日本文学会を開催いたします。
ご案内が直前になってしまいましたが、ぜひご来場を頂けましたら幸いです。
日時:12月3日(土)14:00~
会場:大学会館(マクドナルド横) 地下1Fホール
【研究発表】
河田翔子(本学大学院博士後期課程)
「小松帝説話をめぐって」
【講演】
山本まり子(本学准教授)
「教材としての『和漢朗詠集』―高校「書道」への導入の意義―」
※予約不要、来聴歓迎
(今回は、対面での開催を予定しております。直接会場にお越しください。)
今回は、本学の大学院生・河田さんによる研究発表と、
書道の授業をご担当くださっている山本先生、お二方にご登壇いただきます。
作品の緻密な考証と考察、更にはそれを授業に活かす試みまで、
多岐にわたるお話が伺えそうです。
本学の学生や院生、卒業生の皆様はもちろんのこと、
ご興味のある方はどうぞお誘い合わせの上ご来場ください。
皆様のご来駕をお待ちしております。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
徒然草の「栗栖野といふ所を過ぎて」を思い出される方もおられるでしょう。
が、源氏物語の帚木です。
「神無月のころほひ、月おもしろかりし夜」に女性の家を訪れる話。
「ころほひ」が「ころ」となっている本もありますので、徒然草と同じ表現。
ある殿上人が女性のところを訪れると言うので、同車して出かけてみると
なんと自分の恋人の家でありました。「風にきほへる もみぢの みだれなど あはれに けにみえ」とあります。
江戸時代前期の能筆、おっとりと品の良い書です。
書き手が特定できるのではないか、と思いますが、まだ調べておりません。
紅葉の金泥下絵も洒落ています。
ことしは何処の紅葉を眺めましょうか。
鶴見大学文学部日本文学科研究室