【研究室から】

2013年7月22日 (月)

土用の丑

昨日は多くの方々にオープンキャンパスにお越しいただき、どうもありがとうございました。

さて、今日は土用の丑の日です。

鰻を食べる日として知られていますが、土用とは何でしょうか。

中国古代には、宇宙は「木・火・土・金・水」という五気で満ちており、あらゆるものは五気のはたらきによって生じるとする、五行説が行われました。

五行説では、季節、方角、色、人の道徳など、あらゆる事柄が木・火・土・金・水のいずれかに当てられ、季節の場合、「木」は春、「火」は夏、「金」は秋、「水」は冬に割り当てられます。

これでは「土」がありません。

そこで、それぞれの季節の終わり五分の一の日数にあたる18日分を削って、それを集めて「土」としました。

土用の丑の日とは、特に夏の土用の間にやってくる丑の日のことです。

丑の日は12日のサイクルでまわってきますので、18日の間に二回丑の日がくる年もあります。

今年がそうした年で、8月3日が「二の丑」となります。

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丑の日に鰻を食べる習慣は、江戸時代の平賀源内や大田南畝の発案という説もありますがよくわかりません。

十分栄養をとって暑さに負けず、よい夏休みをお過ごしください。

鶴見大学文学部日本文学科

2013年6月22日 (土)

久方ぶりの、「お気に入り」【研究室から】

今日は、梅雨の晴れ間。

風格ある文房具を取り出してみました。

清朝乾隆(1736~1795)ころの文人、孫阜昌が愛玩した古硯です。

(伝来その他、詳しいことは今回省略)

細部がうまく撮影できず、すみません。

実物は、なめらかで深みのある硯面が油煙墨にふさわしい。

悪筆のも、ちょっと何か書いてみたくなります。

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先日、貞政少登先生にお見せしたところ・・・

じっくり作行きを検分、「水を持て参れ」との仰せ。

硯面に数滴垂らし、鋒芒を指で確かめられ、一言「明初」。

恐ろしい眼力に感心しました。

皆様それぞれの「お気に入り」で、机辺を飾られてはいかが。

研究が画期的に進む、ことはないにせよ、気分がよくなることは請け合います。

鶴見大学文学部日本文学科

2013年5月 6日 (月)

赤煉瓦の橋【研究室から】

上々の晴天に誘われ、自転車で郊外の丘陵地へ。

緑の中に美しいアーチが見えます。

大正2年(1913)に竣工ですので、100歳の現役!

驚くばかりの堅固さと秀麗な魅力は、次の世紀にも健在でしょう。

現代風の橋の方が、早く風化し撤去されるのでは。

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もともと四谷見附にあったものを、平成3年(1991)に移築しました。

実際に橋として十分機能し、表情豊かな風景を創出する建造物です。

これほどの作品を作り上げた先人の努力と才能に脱帽。

翻って私たち自身はどうでしょう。

未来の人々に感心してもらえるものを、どれほど残せますか。

身の回りにある道具も建物も、文学も学問も。

鶴見大学文学部日本文学科

2013年3月15日 (金)

春の旅立ち【研究室から】

ご卒業おめでとうございます。

「もう、勉強しなくてもいい!」と思ってはいませんか。

これからが大変なのですよ、決してやさしく教えてはもらえませんし。

厳しい現実にぶつかった時、鶴見の教員(多分そのほとんど)は慈愛と寛容と思いやりに満ちていた、と実感するでしょう(自画自賛)。

なつかしくなったら研究室へ、どうぞ。

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郊外で見かけた、天神様の祠。

小さくとも、紅梅白梅に囲まれた学問の神様は、実に豊かな風情をお持ちです。

みなさん、陽気の具合または出来心で勉強したくなることもあるでしょう。

今度は大学院にてお待ちいたしております。

鶴見大学文学部日本文学科

2013年2月13日 (水)

もとの持ち主【研究室から】

と言っても、落とし物のことではありません。

手元に、本居宣長の優れた注釈書『古今集遠鏡』薄様刷り特製本があります。

薄様なので、通常6冊か4冊仕立てのところ、2冊で済みます。

問題は、その巻首に見える蔵書印。

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「新渡戸/図書」つまり新渡戸稲造(1862~1933)が持っていたものです。

前の5000円札でお馴染みでしょう。

外国語に堪能な国際人も、日本の古典をちゃんと読んでいた、と言うこと。

文学部の皆さんなら、当然・・・であってほしいと思います。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年10月30日 (火)

つみ重ね【研究室から】

卒業論文にせき立てられる季節です。

なにごとも日頃のつみ重ね。

今年は紅葉も黄葉も遅れています。

だからといって締め切りが遅くなることはありません。

しまった、と言うことのないように。

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研究室の近く、常磐木の上に紅。

幾層かの色の重なる羊羹を連想しました。

銀杏も楓も、論文もまだこれからです。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年8月29日 (水)

野の花【研究室から】

秋の七草の季節です。

野の花では萩が一番のおなじみでしょうか。

最近は女郎花を見かけることが少なくなりました。

何々植物園と銘打った場所で、七草を眺めることは勿論出来ます。

お勧めは、殿ケ谷戸庭園(国分寺市)。

野草の飾らない風情は、とてもいいものです。

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高麗青磁の油壺、たぶん13世紀。

白と黒の土を象嵌、花模様を描いています。

作り手の意図はよくわかりませんが、日本の古陶好きは野菊だと考えてきました。

(菊の花に関する古典文学について、ちょっと調べてみてください)

化粧用香油を入れたものでしょう。持ち主は、どんなひとであったのか。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年7月16日 (月)

見かけない花【研究室から】

先週(14日)の日本文学会は、川端文学を題材にした師弟そろい踏み。

在学生の他、卒業生や大学院修了生の皆さんが来てくださったことに感謝します。

貞政少登先生(名誉教授・日展審査員)のご来駕も特筆ものです。

会のあとは、にぎやかな懇親会となりました。

ところで、古典文学の中ではなかなか見つけられない花があります。

可憐優美なホタルブクロ(ツリガネソウ)もそのひとつ。

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別の名前で、ひっそりと隠れているのかもしれません。

南蛮ギセルの無骨さも、「思ひ草」となれば風情豊かであるように。

2012年5月24日 (木)

牧さん、受賞!【研究室から】

若手俳諧研究者に贈られる「柿衛賞」(かきもりしょう)、本年度は牧藍子講師に決定!

6月3日(日)に、受賞記念の講演会が伊丹市柿衛文庫で行われます。

国文学の分野では、権威ある賞のひとつです。

(岡田柿衛翁は、実業家・市長・研究者を兼ねた大文化人)

さわやかな季節に、気持ちのよいニュースです。

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こちらもさわやかな青白磁、元あたりでしょう。

蓮花文を陽刻した蓋のうえに、獅子の鈕。

(ひいき目では、南宋)

可愛い獅子を拡大すると、

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とろりとした釉薬の下に、なんとか眼や口が見えます。

しっぽが、これまた・・・

2012年4月 4日 (水)

これはこれはとばかり【研究室から】

もちろん「花の吉野山」が続きます。

(詳しく知りたい人は、新任の牧先生にお聞きください)

図書館脇も、薄紅の雲。

ことしはまだ梅が楽しめますので、両手に花、とはこのことでしょうか。

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1世紀以上昔の吉野山です。

折り目が付いているほかは、極上の保存状態。

吉野で企画・刊行されたところが、珍しい。

春の研究棟へ、是非どうぞ。

このような桜の資料を前にしてお話しできる、かもしれません。