太宰府天満宮のお土産に、梅が枝餅をいただきました。
お饅頭ではなく、お餅の中にあんこが入っています。
梅の味はしませんが、表面に梅の刻印が押されています。
太宰府天満宮に祀られている菅原道真は平安時代の優れた学者で、学問の神様としても厚く信仰されています。
合格祈願のお守りなどをもらったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
梅を愛した道真は、都から太宰府に左遷されるとき、庭の梅に向かい次の歌を詠みました。
東風(こち)吹かば匂ひをこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな
春の東風が吹いたならば、筑紫まで薫ってきておくれ、梅の花よ。主の私がいないからといって春を忘れるな。
この歌は大変有名で、これに応えて梅が太宰府まで飛んでいったという伝説(飛梅伝説)も残っています。
近所で梅が咲きました。
まだまだ寒い日が続きますが、健康に気をつけてお過ごしください。
鶴見大学文学部日本文学科
あけましておめでとうございます。
今年もよい一年にしましょう。
今日は一月七日、七草(ななくさ)です。
平安時代、正月七日に新菜を羹(あつもの)にして食べると万病を除くと考えられ、禁中に奉りました。
これが七草粥として庶民のうちに定着していきます。
七草は、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ(かぶ)・スズシロ(大根)とするのが一般的ですがいろいろな説があり、ナズナだけで代表させるところも多くみられます。
お粥に入れてしまうと、七種類を見分けることはとても難しいです。
六日の夜、または七日の早朝に、若菜をまな板の上におき、包丁の背やすりこぎなどでたたいて大きな音をたてるのが七種の特徴で、「薺(なずな)打」「七草打」という季語もあります。
よもに打つ薺もしどろもどろ哉
鶴見大学文学部日本文学科
先週、関西へ資料調査へ行って参りました。
調査先の一つ、大阪府立中之島図書館。建物の一部が国の重要文化財に指定されています。
少し前、話題になりました。
(耐震補強工事中であったため、上の写真は以前撮影したものです。)
明治37年、第15代住友吉左衛門氏の寄付でつくられた非常に格調高い建物で、外観はルネッサンス様式、内部空間はバロック様式を基本としているそうです。
2階中央ホール。内部の造りも大変美しいです。
府立中之島図書館は、古典籍室にある目録カードをひいて請求すると、その場で原本を閲覧することができる、大変ありがたい図書館でもあります。
大阪方面へおいでの際には、一度訪ねてみてはいかがでしょうか。
淀屋橋からの眺めもなかなかよいです。
鶴見大学文学部日本文学科
今日は中秋の名月です。
中秋の名月といえば、中国の唐の時代、白居易が遠方の地に左遷された親友の元稹(げんしん)を憶って詠んだ漢詩に、次のような一節があります。
三五夜中新月の色
二千里外故人の心
三五夜は三×五で十五夜のこと、新月とは出たばかりの月、故人は旧友のことで、ここでは元稹を指します。
遠く二千里の彼方にいる君は、自分が見ているのと同じこの月をどんな思いで見ているのだろうか。
この詩句は、古来日本でも非常に有名で、『源氏物語』須磨巻にも光源氏がこの句を朗誦する場面があります。
こうした月のこころは、江戸時代の西鶴の句にも生きています。
鯛は花は見ぬ里もあり今日の月(『阿蘭陀丸二番船』)
新鮮な鯛、美しい桜のない村里はあるが、今夜のこの名月だけはどこからでも眺めることができる。
今宵は是非お月見を。
鶴見大学文学部日本文学科
9月15日(日)はオープンキャンパスです。
模擬授業は、高田信敬先生と中川博夫先生による「古典資料とコンピュータ」という、ちょっと珍しいお話です。
ぜひ聴きにいらしてください!
前回の続きになりますが、塩竈神社の翌日は、山形市山寺の立石寺へ行きました。
芭蕉が「おくのほそ道」の旅で「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の句を詠んだお寺です。
麓から撮った写真です。山の中にあるのがわかりますでしょうか。
現在は「シッシャクジ」というのが一般的ですが、芭蕉が『おくのほそ道』を執筆したときは「リュウシャクジ」と呼んでいたようです。
登山口近くに芭蕉と、ともに旅をした門人曽良の像がありました。奥が芭蕉で手前が曽良です。
杉の間の石段を登ります。
『おくのほそ道』に「岩に巌を重ねて山とし」というのはこんな風でしょうか。
数年前は入ることのできた場所が、立ち入り禁止になってきつつあるようで、少し残念でした。
芭蕉が立石寺を訪れたのは元禄二年の陰暦五月二七日、今の暦でいうと七月十三日です。
私が行ったのは八月末でしたが、まだ蝉の声がきこえました。
鶴見大学文学部日本文学科
先日、塩竈神社と山寺へ行ってきました。
どちらも芭蕉が「おくのほそ道」の旅で訪れた地です。
今回は塩竈神社のお話を。
塩竈神社は宮城県塩竃市にある陸奥国一の宮で、塩土老翁神(しおつちのおじ)・武甕槌神(かけみかづち)・経津主神(ふつのぬし)を祀っています。
天然記念物の塩竈桜があることでも有名です。
鳥居から本殿までは二〇二段の階段が続いています。
言い伝えによると、天孫降臨のとき武甕槌・経津主を案内して葦原の中つ国を平定した塩土老翁が、のちにこの地に留まって人々に塩を焼くことを教えたということです。
下の写真は、芭蕉が『おくのほそ道』に「神前に古き宝燈有」と記した灯籠。
ところで塩竈には浦霞という日本酒の蔵元があります。
これはその蔵の裏手です。はじめ何の蔵だろうと思って撮影しました。
家紋は丁字(ちょうじ)をモチーフにしたものだそうです。
丁字というのは、スパイスのクローブのことです。
鶴見大学文学部日本文学科