2012年3月 1日 (木)

続 お気に入り【高校生・受験生のみなさんへ】

珍しい大雪でした。

お元気でしょうか。

寒いと部屋の中でくすぶることが多くなります。

そんなときに欠かせないのが、机辺の愛嬌者。

吹き出したくなるほどとぼけた獅子の水滴です。

鼻の穴から水を垂らすように出来ていて、花粉症ではないか、と思ったり。

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御深井の古いもの、江戸初期くらいではないでしょうか。

(「御深井」をすんなり「おふけ」と読めた方は、偉い)

古典文学の中にも、愛嬌と笑いの作品があります。

3月25日(日)、春の学校見学フェアでは、そんなお話もする予定です。

2012年2月14日 (火)

寒牡丹【在学生のみなさんへ】

みなさんは定期試験が終わり、成績発表を待つばかり。

こちらは、入試やら会議やらに忙殺されるこの頃です。

すこし時間を作って、東海の城下町に出かけました。

勿論、典籍調査のためです。

文庫の前に、寒牡丹が咲いていました。

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土壌管理・寒さよけの覆い・剪定など、丹誠のほどがしのばれます。

私たちの講義も、目に見えない所での準備がとても大切です。

学会発表の水準で授業を行い、わかりやすく伝えること。

訪書旅行は、花を咲かせるための下地造りのひとつです。

2012年2月 1日 (水)

ゆかり【研究室から】

と言っても、梅干しに使った紫蘇の加工品ではありません。

一昔前、ある先生のお手伝いをしましたら、「お礼に」と、くださったものです。

作られてから、もう半世紀近くたつでしょうか。

よく使い込んだ、銀の英国製筆記具です。

柔らかい光沢と流麗な彫刻、そして品格の髙さ。

優れた研究者であるのみならず、文章のうまさは群を抜いていらっしゃいました。

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鋭い観察眼、皮肉の効いた言い回し、柔軟な表現、どれをとっても一流です。

惜しくも、先年なくなられました。

「ゆかり」のペンとシャープペンシルで先生の名文にあやかりたいと思うこと、切。

(なお、シャープペンシルは和製英語、米国ではメカニカルペンシル。さて英国では?)

2012年1月16日 (月)

春を待つ【高校生・受験生のみなさんへ】

厳しい寒さ続き、お元気ですか。

里山を歩いてみました。

枯れ葉の道のあちこちに、春を待つ木々や小さな芽ぶきが見られます。

静かに、じっと力を蓄える姿。

けっして派手ではありませんが、底光りのする美しさではないでしょうか。

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体調に気をつけ、この季節を乗り切りましょう。

1月29日(日)には、奨学特待生選抜試験があります。

4年間授業料なしで勉強できる制度です。

挑戦してみてください。

2012年1月 5日 (木)

第2回鶴見日本文学会賞のエントリー【お知らせ】

あけましておめでとうございます。

さて、卒業論文の出来映えはいかがでしょう。

ご存じのように、優秀な論文を褒賞する制度があります。

口頭試問後、2月8日(水)がエントリーの締め切りです。

大学生活のすばらしい締めくくりとなることを、期待しております。

Bc119

2つの顔を持つ神、ヤヌス。

ひとつは過去を見つめ、もうひとつは未来を展望します。

新しい年がめぐってきました。

これまでの過ごし方とこれからの自分を考えるよい機会でしょう。

なお、ヤヌス神が英語Januaryの起源となったことは、言うまでもありません。

紀元前118年、共和制ロ-マの銀貨です。

2011年12月23日 (金)

ちょっと贅沢【高校生・受験生のみなさんへ】

寒い毎日が続きます。

健康管理は十分ですか。学問も体力第一!

それはそれとして、300年ほど前の書物を取り出してみました。

紫式部の曾祖父、藤原兼輔(かねすけ)の歌を集めたものです。

金銀装飾の、豪華な表紙。

見ているだけで、豊かな気分になります。

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読書の贅沢な楽しみ、といえるでしょう。

日本文学科では、このような書物を手に取ってみる授業があります。

では、よいお年をお迎えください。

2011年12月11日 (日)

稀な機会【研究室から】

12月10日(土)、日本文学会秋季大会が催されました。

一般市民の皆様が多くいらっしゃったことは、驚きです。

後藤祥子先生のご講演は、犀利かつ自在。

和泉式部は1000年の後の知音に感謝しているでしょう。

岩佐美代子先生のご挨拶も、単なる挨拶の域を越える卓説のご披露でした。

また、その後の懇親会は楽しいお話の花盛りです。

学生・院生に卒業生、専任教員と他大学の研究者で賑わいました。

会が終われば、冬空に月食。

(古くは「ぐわつしよく」と読んでおります)

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天体撮影の機材がありませんので、持ち合わせの道具を使いました。

不鮮明のところはご勘弁ください。

冴えた月食に出会うことは、稀かもしれません。

後藤・岩佐両先生のお話が一度に聞けたのは、もっと稀な、そして至福の機会です。

2011年11月24日 (木)

自由な発想【在学生のみなさんへ】

休みを利用して、古典籍の調査に出かけました。

静かな城下町のその街角に、ひときわ目を引く色使い。

みずみずしいグリーンのポストです。

町の特産、抹茶をイメージしたとか。

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明治時代、郵便制度発足時点では、黒く塗られた箱でした。

赤い郵便箱は、イギリスにならったもの。

色ひとつをとっても、既存の枠組みにとらわれない自由さや柔軟な発想は大切です。

ただし、自由が無知と蛮勇の隣にあるのは困ります。

確かな基礎の上に展開する自由闊達、が望ましいでしょう。

平凡なもの言いにて誠に恐縮。

2011年11月14日 (月)

小道の先には【研究室から】

締め切りの近づいた原稿が気になる季節です。

講義の準備、会議、書類作り、その他いろいろ片付けながら、研究もまとめねばならず・・・

追い詰められてもよい知恵はなく、暗中模索の連続。

ところが資料を読んでいるうちに、小さな明かりが見つかる。

あるいは、ぱっと視界が開ける。

わくわくする一瞬、学問はすばらしいと思います。

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細い道をたどった先で出会えるもの、林のかげを抜けると見えてくるもの。

秋から冬にかけての山歩きは、研究とちょっと似ています。

卒業論文も修士論文も課題のレポートも普段の勉強も、もう一歩、また一歩。

2011年11月 4日 (金)

ちょっと遅めの【お知らせ】

諸般の事情により今年の日本文学会秋季大会は、12月開催。

平安文学研究の権威、後藤祥子先生をお招きしての講演会となります。

後藤先生は、日本女子大学学長の要職を長くつとめられた、有能誠実な方です。

そして斬新な論文を多く発表され、現在も第一線でご活躍中。

日時 平成23年12月10日(土)15:00開演

会場 鶴見大学会館メインホール

題目 『和泉式部日記』前史ー為尊親王伝の虚実ー

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幕末大和絵の第一人者冷泉為恭(1823-1864)描く和泉式部です。

個性的な顔立ち・衣紋の見事さ・上品な賦彩・・・

平安歌人の絵姿中、出色の作でしょう。