今日は、フランス革命記念日です。
親しみやすく言えば、パリ祭。
一昔前までは、絵描きさんや音楽家達が宴を開いていました。
革命歌ラ・マルセイエーズもよく歌われたようです。
俳句の季語になっていますので、お調べ願います。
さて、パリに縁のある音楽はたくさんあります。
ハイドン、モーツアルトにはパリ交響曲。
担当者のお勧めは、ヨハン・シュトラウスの「パリのワルツ」です。
ラ・マルセイエーズの旋律がとても愛らしく使われています。
ところで、19世紀後半にはパリの街角に多くの彫刻が立てられました。
ベルリオーズの像もそのひとつです。
残念ながら、第二次大戦中壊されてしまいました。
現在の像は戦後の作品です。
では、初代ベルリオーズを御覧ください。深刻そうな顔つきですね。
なお、この図はLes Statues de Parisから採りました。
精緻な銅版のように見えますが、木口木版です。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
和菓子の話です。
季節感は、その魅力のひとつ。
そして、土地ごとの素材や作り方も和菓子を楽しむ大切な要素です。
今月は、なんと言っても水無月。
ういろう生地に小豆を載せた、いたって単純な作りです。
形もすっきりと簡潔、暑い夏に氷の意匠で涼しさを演出します。
もともと関西のお菓子でしたが、最近はこちらでもよく見かけます。
では、波佐見の染付皿と組み合わせて見参。どこでも手軽に求められるのは結構ですが、
その季節にその土地で味わう楽しみは薄れます。
昔、本所吾妻橋に羊羹と豆大福のおいしいお店がありました。
白いのれんにお店の名前が書いてあり、小さくともすっきりとした構え。
夏のこと、豆大福を買いに出かけましたが、お店には大福の影も形もなし。
ご主人に尋ねたところ、
「大福には、季節があります。秋から冬が一番おいしい」とのこと。
夏に大福なんぞとんでもない、と言う顔つきでした。
「では、夏は何を作られますか」と質問。
答えは「すだれ羊羹」でした。さっそく購入したことは勿論です。
仕入れ物ではなく自家製のすだれ羊羹を作る和菓子屋さんはあるのでしょうか。
お店をたたんでしまわれたのは、とても残念です。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
6号館から本山鐘楼にかけて、紫陽花がたくさん咲いています。
少し盛りを過ぎたようですけれど、まだ十分鑑賞出来るでしょう。
万葉歌人に詠まれてはいるものの、その後はあまり注目されなかった歌題です。
院政期から用例が増えてきます。
紫陽花の特徴を「よひら」(4枚の花弁)と捉えるのが、和歌の約束事。
さまざまな景物と取り合わせます。
「あぢさゐのよひらの八重に見えつるは葉ごしの月のかげにぞありける」
これは、紫陽花と月光。
「あぢさゐの下葉にすだく螢をばよひらのかずの添ふかとぞ見る」
紫陽花と螢は、なかなか幻想的で美しい。
白磁の壺と取り合わせてみますと・・・
青白磁の、ちょいと取り澄ました雰囲気とはまた別の味わいです。
手前の蓋は蓮の葉をかたどっています。元か、下っても明初と言うところ。
さて、先ほどの和歌2首、作者はだれかお調べください。
紫陽花にちなむ和菓子もいくつかあります。
また、ユスラウメ・ヤマモモ・桑の実など、野趣横溢の味も楽しめる季節です。
食べ物の話は、次回。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
梅雨間近です。
木々の緑が日ごとに濃くなり、紫陽花も咲き始めました。
源氏物語の5月は、雨夜の品定め・螢の巻の物語談義など、多彩。
花散里の巻は「五月雨の空めづらしく晴れたる」日のことを綴っています。
では、明暦3年(1657)安田十兵衛版で御覧ください。光源氏が見上げる夜空に、月と時鳥。
「二十日の月さし出づるほどに」とありますが、月はどう見ても満月に近い。
羽根を毟られた鶏のように見えるのが、ほととぎすです。
大学や本山でほととぎすを聞いたことはありません。
多摩丘陵や鎌倉の山間では、さかんに鳴いています。
同じ名前の植物もありますので、お調べください。
ついでに申しますと、ほととぎすが登場する仏典もあるのです。
(偽経とされていますけれど)
この話はいずれ。
鶴見大学文学部日本文学科研究室