2014年5月 6日 (火)

有磯海

有磯海(ありそうみ)は富山の海岸で、古来歌枕として大変有名な土地です。

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芭蕉は『おくのほそ道』の中で、有磯海を訪ねたいと思いつつ果たせなかった心残りを「わせの香や分け入る右は有磯海」の句に詠んでいます。

またこの辺りには、多祜の浦(たこのうら)という歌枕もあり、こちらは万葉の時代から藤が詠まれています。たとえば、次の越中の国守であった大伴家持の歌です。

  藤波の影なす海の底清み沈著(しつ)く石をも珠とぞわが見る

  (藤の花の影を作る湖の水が清いので、沈んでいる石も珠のように美しく見ることだ)

しかし、江戸時代には随分様子が異なっていたようで、安永七年に刊行された『おくのほそ道』の注釈書には「多祜の浦」について「海辺氷見の町の北、布施の海のほとり、今、田となる」と記されています。

この写真を撮った日には、海の向こうに雪をいただく立山連峰が見えました。

うまく写らず残念です。

鶴見大学文学部日本文学科

2014年4月 2日 (水)

満開の桜

先月末から、新学期に向けてのオリエンテーションが始まっています。

総持寺の三門の隣にある大島桜が、今ちょうど満開です。

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きれいな白です。大島桜は近くに寄ると、桜の香りがよくわかります。

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これは四階の教室から撮りました。

今年もまた、美しい花を咲かせています。

この一年を充実したものにできるよう、私たちもともにがんばりましょう!

鶴見大学文学部日本文学科

2014年3月29日 (土)

卒業式と鶴見日本文学会賞

卒業生のみなさま、ご卒業おめでとうございます。

みなさんの未来が幸せに満ちたものでありますよう、教員一同、心からお祈り申し上げます。

これからもお一人お一人、それぞれの道を切り開いてお進みください。

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さて、今年も審査委員会による慎重な検討を経て、七名の方に鶴見日本文学会賞を授与致しました。

候補論文はいずれも力作でした。

受賞者のお名前と論文名は学報にてご覧ください。

鶴見大学文学部日本文学科

2014年3月10日 (月)

卒業記念特別展示のお知らせ

3月14日は卒業式。

鶴見大学図書館では、10時から16時の六時間限定で、霊元天皇ゆかりの源氏物語扇面貼交屏風が公開されます。

扇面を貼り交ぜた屏風や、源氏絵の屏風は少なくありません。

しかし本屏風に貼られた扇は実際に扇として使われたもので、非常にめずらしく、おもしろいものです。

卒業生のみなさん、記念撮影はいかがですか。

どうぞお見逃しなく!

鶴見大学文学部日本文学科

2014年3月 9日 (日)

梅園

3月23日(日)はオープンキャンパスです。

高田信敬先生による模擬授業「笑いと謎―楽しい古典文学―」もお楽しみに。

高校の古文の授業とはひと味違った違ったお話がきけますので、ぜひいらしてください!

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小梅という種類の梅です。

花は一重で小さいですが、すっきりと伸びた枝に、たくさんのつぼみをつけています。

古今和歌集に「春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる」(春の夜の闇に梅の花の色は隠れても、その香は隠れようもない)と詠まれる通りの、香りの高さでした。

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こちらは大ぶりの八重咲きです。

枝が重たそうです。

青空を透かして見ましたが、こちらの梅は夜の闇の中でも白く浮き上がって見えそうです。

鶴見大学文学部日本文学科

2014年2月27日 (木)

福寿草

先日、早咲きの梅を見に行くと、福寿草が咲いていました。

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福寿草は元日草とも呼ばれ、新春の縁起物として人気がありました。

江戸時代の中頃、植木鉢が普及しはじめると、一般庶民が園芸を楽しむようになり、中でもおめでたい福寿草はいち早く商品化したそうです。

はじめは短い茎の上に花だけがつきますが、だんだん茎や葉がのび、ひとつの茎にいくつかの花が咲きます。

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こちらは少し育ったもの。

内側にぎゅっと力のこもったつぼみの姿も、きれいに開いた鮮やかな黄色の花弁も、ともに春の訪れを感じさせます。

 一本(ひともと)はかたきつぼみやふく寿草  召波

鶴見大学文学部日本文学科

2014年2月14日 (金)

今年は二月に入ってたくさん雪が降ります。

見慣れた大学構内も、雪が降ると違った景色に見えます。

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雪は日本の風雅を代表する景物の一つですが、現実生活としては美しいとばかりは言っていられないこともありますね。

明日もお出かけの際はお気をつけて。

 雪行け行け都のたわけ待ちおらん  一茶

鶴見大学文学部日本文学科

2014年1月27日 (月)

雪吊

旧岩崎邸で雪吊り(ゆきつり)を見ました。

積雪で枝が折れないように縄を張っています。

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雪の積もらない地域でも、冬の風物詩として行われることもあり、時々目にします。

この日も、冬の空に放射状の縄が映えて美しかったです。



こちらは牡丹の雪折れを防いでいる藁ぼっち(わらぼっち)です。

後ろに写っている赤い実は万両の実でしょうか。

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 雪吊の松を真中に庭広し  高浜虚子



鶴見大学文学部日本文学科

2014年1月20日 (月)

東風ふかば

太宰府天満宮のお土産に、梅が枝餅をいただきました。

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お饅頭ではなく、お餅の中にあんこが入っています。

梅の味はしませんが、表面に梅の刻印が押されています。



太宰府天満宮に祀られている菅原道真は平安時代の優れた学者で、学問の神様としても厚く信仰されています。

合格祈願のお守りなどをもらったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

梅を愛した道真は、都から太宰府に左遷されるとき、庭の梅に向かい次の歌を詠みました。

 東風(こち)吹かば匂ひをこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな

春の東風が吹いたならば、筑紫まで薫ってきておくれ、梅の花よ。主の私がいないからといって春を忘れるな。

この歌は大変有名で、これに応えて梅が太宰府まで飛んでいったという伝説(飛梅伝説)も残っています。



近所で梅が咲きました。

まだまだ寒い日が続きますが、健康に気をつけてお過ごしください。

鶴見大学文学部日本文学科

2014年1月 7日 (火)

七草粥

あけましておめでとうございます。

今年もよい一年にしましょう。

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今日は一月七日、七草(ななくさ)です。

平安時代、正月七日に新菜を羹(あつもの)にして食べると万病を除くと考えられ、禁中に奉りました。

これが七草粥として庶民のうちに定着していきます。

七草は、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ(かぶ)・スズシロ(大根)とするのが一般的ですがいろいろな説があり、ナズナだけで代表させるところも多くみられます。

お粥に入れてしまうと、七種類を見分けることはとても難しいです。

六日の夜、または七日の早朝に、若菜をまな板の上におき、包丁の背やすりこぎなどでたたいて大きな音をたてるのが七種の特徴で、「薺(なずな)打」「七草打」という季語もあります。

  よもに打つ薺もしどろもどろ哉

鶴見大学文学部日本文学科