貴重書の紹介

2009年11月 4日 (水)

三島市郷土資料館の企画展に貴重書を貸出中

第24回国民文化祭・しずおか2009協賛事業
企画展「百人一首と古今伝授~古今伝授のまち三島からその源流をさぐる~」
平成21年10月24日(土)~平成21年11月23日(月・祝)

「小倉百人一首かるた競技全国大会」にちなんだ関連事業として、三島市で展覧会が開催されています。百人一首の成立や、異種百人一首などの紹介、展示のほか、三島で行われたとされる古今伝授についても紹介されています。

この企画展に鶴見大学図書館の貴重書2点、「獨吟千句 (三嶋千句)」と「賦名所連謌(名所百韻)」を貸出中です。

お近くへお出かけの際は、ぜひお寄りくださいnote

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   「獨吟千句 (三島千句)」    

    

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    「賦名所連謌(名所百韻)」

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鶴見大学所蔵の貴重書は、学内貴重書展のほかにも、いろいろな施設の企画展や貴重書展で大活躍ですscissors

※ブログ掲載の展示風景写真は、三島市郷土資料館より提供いただきました。

(C.Y)

2009年9月25日 (金)

周興筆と言われる「古今和歌集」

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最近入った資料に「古今和歌集」があります。この古今和歌集は室町時代後期(おおよそ15世紀終わりから16世紀の前半)に筆写された周興筆と言われるものです。周興は彦竜周興のことで、室町時代に五山文学の詩文をよくした僧侶です。

この資料、なかなか値が張るのですが、それというのも、このような平安文学で室町時代写のものは、なかなか市場に出回らないとのこと。

それ以外にも珍しい点がいくつかあります。ふたつの奥書があること。奥書とは、本の来歴などを記録したものを指し、この資料で言えば、藤原定家と頓阿の奥書があることから、定家がまず写し、それを頓阿が写し、そしてこの周興がさらにそれを写した、と目されるわけです。

そしてもうひとつ珍しいことは、この資料が周興の筆によるという鑑定結果として、極書と呼ばれるものがある点です。鑑定がなされている資料自体は、この手の資料に関してはさして珍しくないのですが、通常は、極札と呼ばれる紙片がついているだけであり、この資料のように極書があるものはかなり珍しいのです。

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これが極書です。古筆了佐と書いてありますが、この鑑定家は有名な家系。1634年に鑑定が行われていることが記されているので、この資料がそれ以前のものであることがわかると同時に、古筆鑑定の研究材料としても役立ちます。

(K.I.)

彦竜周興について、研究者の方から「漢詩文のことはよく知られておりますが、和歌事跡は知られておらず、同時代を生きた別人だと思われます。」との指摘をいただきました。誤りであることを確認して、本文を訂正いたしました。

今後は、Webサイトによる情報発信に際しては、事実確認を怠ることのないよう配慮いたします。

2009年10月6日 鶴見大学図書館

2009年9月18日 (金)

幕末を生きた万里小路睦子の写本

今から百数十年の昔、徳川御三家の一つ水戸藩で激動の時代を生きた女性がいました。その名は、万里小路睦子(睦子は、ちかこ、と読む)。今回ご紹介する本は、この万里小路睦子の印記が押された、おそらくは本人直筆のものです。

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その本は、後水尾院御説の自讃歌抄です。下のほうにある印記が万里小路睦子のもので、筆触が女性らしく、当人のものだろうという本学教授の話。

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これが、印記です。読みやすい印記なので、万里小路睦子であるのがわかります。

万里小路睦子とは、徳川十五代将軍徳川慶喜の実父にあたる、水戸藩主徳川斉昭の側室です。徳川斉昭の名前は、聞いたことがある人も多いでしょう。ちなみに、この万里小路睦子の子供、徳川昭武が水戸藩の最後の藩主になっています。

幕末から明治にかけての、日本が大きく変わっていく時代に何を思い筆を走らせたかを考えるのも、なかなか楽しいですね。

(K.I.)

2009年8月28日 (金)

貴重書には蔵書印を押します

貴重書を購入すると鶴見大学図書館の蔵書印を押します。蔵書印の押印は、江戸時代にはもう行われていたことで、この蔵書印を見ることでその本が誰の持ち物であったのかがわかります。名のある人が所有していることがわかった本は、通常より高い値段で取引されるのも面白いところです。

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最近受け入れた貴重書から一冊。上の蔵書印が図書館ので、下のものは秋葉文庫と読むと思われます。詳しく調べればわかるのでしょうが、蔵書印の事典には載っていない人の蔵書印です。

蔵書印の変遷を調べるのもなかなか面白いものです。ちなみに、古いものから順番にページ右下から上のほうへと押していくのがならわしとなっています。もちろん、そうなっていない資料もたくさんありますが。

図書館の目録においては、蔵書印は「印記」という言葉で表現します。皆さんも、貴重書の目録を見て、誰が持っていたのか、思いをはせるのもいかがでしょう。

(K.I.)

2009年7月22日 (水)

貴重書庫に書架を増設!

今の図書館ができてだいぶ経ち、皆さんの利用する開架の書架も、閉架になっている地下の書架も、もうほとんど満杯状態。実は、貴重書庫もかなり一杯だったんですが、今回少しですが、空いているスペースに書架を増設しました!

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増設したのは、貴重書用にと木製の書架。本は毎年増えてゆくもの。少しでも書架が増えればうれしいものです。

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書架の一つは、一般書架。

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もう一つは、右側にあるような軸物を入れる書架です。

半日で設置作業は無事終わり、少し貴重書庫の装いが新たになりました。

(K.I.)

2009年6月22日 (月)

新規受入貴重資料「当麻(断簡) / 島津義久筆」のこと

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新規受入の貴重書で、[当麻(断簡)]が入りました。この資料は、28点まとめてきた古筆切と呼ばれる一枚ものの一つで、本学の先生が調べた結果、当麻の断簡であることがわかりました。

当麻というのは、「たいま」と読むのですが、お能の曲目の一つで、そのあらすじは、「念仏僧が當麻寺に詣でると、信心深げな老尼と腰元らしい若い女が来かかる。僧の尋ねに応じて老尼は當麻曼陀羅の縁起を語り、中将姫が籠もったという二上山に姿を消した。やがて中将姫の精霊が現れ、弥陀浄土を賛嘆して舞を舞う。」(引用:能楽協会HP)といったものです。

この断簡は、この当麻の末尾にあたるということです。おもしろいのは、この書写者が、島津義久という戦国武将のものだと、古筆鑑定家が認めているというところにもあります。

島津義久、知っている人も多いでしょう。わたしもやりましたが、ゲームではやった「信長の野望」で、かなり強い武将として登場する人物です。ゲームの話なのでなんともわかりませんが、実在の島津義久も名将であったようです。

歴史のロマンを感じさせる断簡です。当麻については、小林秀雄もそれを鑑賞したときの様子を著しています。「無常といふ事という随筆に入っていますので、興味がおありの方はどうぞ。

K.I.

2001年10月 2日 (火)

貴重書ギャラリー:5 和歌と物語

貴重書ギャラリー:5 和歌と物語

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貫之集断簡
  伝寂然筆・藤原定家書入
  村雲切 平安時代末期写
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師輔集断簡
  伝平業兼筆
  春日切 鎌倉時代初期写
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古今和歌集
  零本 鎌倉時代後期写
kch-44
風雅和歌集断簡
  奏覧本 尊円親王筆
  南北朝時代写
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俊成卿九十賀和歌
  江戸時代中期写
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伊勢物語
  藤原定家筆本模写
  室町時代後期写
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源氏物語断簡
  河内本 伝藤原為家筆
  鎌倉時代中期写
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狭衣物語断簡
  伝阿仏尼筆 鎌倉時代後期写
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曽我物語
  蒔絵箱入 江戸時代初期写

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源氏物語双六
  付「うちやうの事」
  江戸時代後期刊

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貴重書ギャラリー:4 日本文学--古典籍の名筆-- 善本書影拾葉

貴重書ギャラリー:4 日本文学--古典籍の名筆-- 善本書影拾葉

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和漢朗詠集
  伝後京極良経筆
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源氏物語 須磨・付帚木残簡
  伝冷泉為相筆
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新勅撰和歌集
  伝後伏見院筆
kch-34
新選莵玖波集
 伝飛鳥井雅康・大内政弘筆
kch-35
伊勢物語
  近衛信尹筆
kch-36
古今和歌集
  契沖筆
kch-37
万葉集問答  田中道麿問・本居宣長答自筆原本
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対大己五夏闍梨法
  道正庵切 道元自筆
kch-39
千載和歌集  日野切
  藤原俊成筆
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異本平家物語 長門切
  伝世尊寺行俊筆

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貴重書ギャラリー:3 典籍東西の光彩 善本拾葉

貴重書ギャラリー:3 典籍東西の光彩 善本拾葉

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源氏物語 賢木、明石巻
  奈良絵本
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源氏物語
  蒔絵函入本
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源氏五十四帖絵巻 
伝狩野探幽原画幽遠斎模写
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駒競行幸絵詞
  狩野養信模写
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寛永行幸記(零本)
  古活字版 絵活字彩色
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西洋画引節用集(口絵)
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Japanese fairy tales (英訳) L.ハーン訳
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ミルトン『失楽園』(J.エヴァンス挿画)
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ミルトン『失楽園』(J.マーティン挿画)
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オリテリウス「東インド図」

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貴重書ギャラリー:2 名場面への招待 源氏物語絵とシェイクスピア劇絵

貴重書ギャラリー:2 名場面への招待 源氏物語絵とシェイクスピア劇絵

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源氏物語絵  空蝉巻
  奈良絵
  江戸中期写
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源氏大和絵鑑 花宴巻
  菱川師宣画
  貞享2年刊
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源氏物語   明石巻
  奈良絵本
  江戸前期写
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源氏五十四帖絵巻 篝火巻
伝狩野探幽原画幽遠斎模写
  天保2年写
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源氏小鏡   東屋巻
  明暦3年刊
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「ハムレット」R.ウェストール画
『ボイデル・シェイクスピア戯曲画集』 1804年頃刊
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「夏の夜の夢」H.フューズリ画
『シェイクスピア劇作品集』H.ステビング編 1828年頃刊
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「あらし」H.J.タウンゼント画
『シェイクスピア作品集』インペリアル版 C.ナイト編 1875-76年刊
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「冬物語」J.ギルバート画
『シェイクスピア文庫』 1879年刊
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「ウィンザーの陽気な女房たち」G.ロス画
『シェイクスピア戯曲集』H.ファージョン編 1939-40年刊

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