新規受入貴重資料「当麻(断簡) / 島津義久筆」のこと
新規受入の貴重書で、[当麻(断簡)]が入りました。この資料は、28点まとめてきた古筆切と呼ばれる一枚ものの一つで、本学の先生が調べた結果、当麻の断簡であることがわかりました。
当麻というのは、「たいま」と読むのですが、お能の曲目の一つで、そのあらすじは、「念仏僧が當麻寺に詣でると、信心深げな老尼と腰元らしい若い女が来かかる。僧の尋ねに応じて老尼は當麻曼陀羅の縁起を語り、中将姫が籠もったという二上山に姿を消した。やがて中将姫の精霊が現れ、弥陀浄土を賛嘆して舞を舞う。」(引用:能楽協会HP)といったものです。
この断簡は、この当麻の末尾にあたるということです。おもしろいのは、この書写者が、島津義久という戦国武将のものだと、古筆鑑定家が認めているというところにもあります。
島津義久、知っている人も多いでしょう。わたしもやりましたが、ゲームではやった「信長の野望」で、かなり強い武将として登場する人物です。ゲームの話なのでなんともわかりませんが、実在の島津義久も名将であったようです。
歴史のロマンを感じさせる断簡です。当麻については、小林秀雄もそれを鑑賞したときの様子を著しています。「無常といふ事」という随筆に入っていますので、興味がおありの方はどうぞ。
(K.I.)