貴重書ミニ展示

2016年1月21日 (木)

貴重書ミニ展示「パラテクストから見える 西洋の世界 学生たちによる展示7」開催中

第61回貴重書ミニ展示

「パラテクストから見える 西洋の世界

学生たちによる展示7」

開催しています。

61tokushu

この展示は、

〈書誌学特殊講義2〉

成果発表となるもので、

展示作業と解説を

学生さんが担当しましたhappy02

Dscn2060

□ 

【会期】 平成28年1月21日(木)~1月27日(水)

【会場】 鶴見大学図書館 1階エントランス

【開館時間】

平日 8:50~20:00

土曜 8:50~18:00

日曜 閉館

□ 

はじめに

書誌学特殊講義2担当 池田早苗

鶴見大学図書館に収蔵される西洋古版本の面白さ、興味深さを、ひとり1冊ずつ担当して、自ら捉えて自分の言葉で、展示を見る人々に語っている――今回の展示をひとことで言うなら、このようになるだろうか。

「テクストの社会学」という言葉で語られた書誌学者 D. F. マッケンジーの理論は、21 世紀の私たちに向けて、一層の確かさを見せてくる。テクスト(本文)は、テクストの外側にあって書物を作るもの(パラテクスト)と一体になって存在する。それらがあって、テクストは伝えられる。――これを認識すると、学生たちは目前の貴重書を観察しはじめた。観察して記録する。生まれてはじめて見た貴重書を前にすると、しばし言葉が ないことがある、それをクラスで学んだいくつかの書誌学のことば、キャッチワード、シグニチャー・・・などに目を向け始めることで、それまで見えない、わからないと思っていたものが、本文内容を(ラテン語などで)読めなくとも、見えてくると実感する――何かを「発見」するのかもしれない。疑問点、興味深い点をあげ、図書館の本やインターネットでリサーチする、出てこない時もどのようにリサーチしたか記録する、それを読み返す。意見を一方的に主張する前に、観察し考察する実物――長い歴史・文化・社会をその一冊の書物が包含し示している存在(貴重書)――があることは、それに対峙する者にとってかけがえがないのではないだろうか。そうして語る学生ひとりひとりの言葉に、耳を傾けてくださることを願う。

1 インキュナブラが伝えてくる~製本から見えること~ 

2 そのランニングタイトルは何を指し示すか?

3 アルドゥス・マヌティウスが『諷刺詩』を出版する上でもたらした影響

4 あぁ 素晴らしき西欧芸術

5 ミルトンの叙事詩『楽園追放』について

6 パラダイスロストの空白

7 『ロビンソン・クルーソー』の歴史的背景と書物の歴史への影響

8 ジョナサン・スウィフトの見ていた物語 『ガリヴァー旅行記』

9 書の芸術と発達

10&11 ケルムスコット・プレスーウィリアム・モリスの目指した理想の書物

□ 

【展示資料】

1.『[聖グレゴリウス1 世による]説教書』(ヴェニス、1493 年)
[Homiliae super Euangeliis], [Gregorius I, the Great Saint Pope]
(Venetijs: Peregrinum de Pasqualibus, 1493)

2.『プリスキアヌス作品集』(ヴェニス:フィリップ・ピンキウ、1495 年)
[Opera: Priscianus; edited by Benedictus Brognolus; partly with
a commentary by Joannes de Aingre](Venetiarum: Philippu Pinciu, 1495)

3.ユウェナリス、ペルシウス『諷刺詩』
(ヴェネチア:アルドゥス・マヌティウス、1501 年)
Ivvenalis; Persivs, [Satyres] (Venetiis: in aedibus Aldi, 1501)

4.『聖書』(パリ: T. ケルヴァー、1534 年)
Biblia sacra: Integrum vtriusqe testamenti corpus cõplectens diligenter recognita &
emendata:(Parisiis: Ex edibus yolãde bonhõme vidue T. Keruer, 1534)

5.ミルトン『楽園追放』(ロンドン:シモンズ、1669 年)
John Milton, Paradise Lost: A Poem in Ten Books(London: Simmons, 1669)

6.ミルトン『楽園追放』第4版 最初の挿絵版  (ロンドン:フレッシャー、1688 年)
John Milton, Paradise Lost, 4th ed., adorn’d with sculptures
[by R. White and M. Burgesse]
(London: Printed by M. Flesher for J. Tonson, 1688)

7.ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』第2 版(ロンドン:ティラー、1719)
Daniel Defoe, The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe
of York, Mariner, 2nd edn (London: Printed for W. Taylor, 1719)

8.J. スウィフト『ガリヴァー旅行記』初版(ロンドン: モッテ、1726 年)
[J. Swift], Travels into Several Remote Nations of the World: in Four Parts:
by Lemuel Gulliver (London: Motte, 1726)

9.H. N. ハンフリーズ『書の芸術と発達と進歩』(ロンドン:デイズ・アンド・サン、1855 年)
Henry Noel Humphreys, The Origin and Progress of the Art of Writing, 2nd ed.
(London: Day & Son, 1855)

10.『レイナード狐物語』([ハマースミス]:[ケルムスコット・プレス、1893 年])
The History of Reynard the Foxe, trans. from Dutch to English by William Caxton
([Hammersmith]: Kelmscott Press, [1893])

11.『花と葉、愛の神キューピッドの本、郭公と夜啼鳥』F. S. エリス編
([ハマースミス]: [ケルムスコット・プレス、1896 年)
The Floure and the Leafe, and the Boke of Cupide, God of Love, or the Cuckow
and the Nightingale, [ed. by F. S. Ellis] ([Hammersmith]: [Kelmscott Press], [1896])

(hh)

2016年1月 7日 (木)

あけましておめでとうございます

新しい年を迎えましたflairshine

C360_20160107095225015_2 つるみんとつるたんはお正月の着物姿でみなさんを待っていますheart04

図書館員一同、今年も学生のみなさんの学習をサポートしてゆきたいと思いますwinkscissors

歯学部・歯科衛生科のみなさんは、これからが本番sign01国試に向けてラストスパート頑張ってくださいrockhappy01rock

さっそくですが、図書館展示の予告です。

図書館のエントランスで行う展示の予定をお知らせします。

毎年恒例の源氏物語研究所の展示と、学生の成果発表をかねての展示を行う予定です。

今後も詳細が決まりましたらブログにてお知らせしてゆきます。

ぜひとも図書館に足をお運びくださいconfident

書誌学特殊講義の授業展示 

展示期間:1/21(木)~27(水)

テーマ:講義の成果発表

担当教員:池田早苗先生

源氏物語研究所の展示

1月下旬~

テーマ:「源氏物語 飲んだり食べたり」

担当教員:高田信敬教授

※講演会を行います。日程は未定。決まり次第お知らせします。

書道卒業展示とのコラボ展示

展示期間:3/12(土)~3/28(月)

テーマ:未定

担当教員:松本文子教授

ktnote

 

2015年12月16日 (水)

貴重書ミニ展示「古典籍を写す・模す」「古活字版『寛永行幸記』3種」を開催中

第60回貴重書ミニ展示 

「古典籍を写す・模す」

「古活字版『寛永行幸記』3種」

開催していますbook

201560enshu

2015年12月16日(水)~24日(木)26日(土)

図書館1階エントランス

(鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科主催)

 

文学部ドキュメンテーション学科

「古写本演習」「古版本演習」

両科目における実地演習の

現時点までの成果発表となる展示ですscissors

 

受講学生さんが、展示作業と

解説を担当しましたpencil

ぜひご覧くださいhappy01

 

展示資料

1 古今和歌集 上帖(~巻十) 鎌倉時代末~南北朝期写 伝津守国冬筆 列帖装1帖
2 古今和歌集 室町時代写 伝兼好筆 列帖装1帖
3 詠歌大概 天正元年(1537)写 里村紹巴筆 列帖装1帖
4 伊勢物語 室町時代後期写 列帖装1帖
5 住吉物語 江戸時代前~中期写 列帖装1帖
6 源氏物語 桐壺 室町時代(享禄2年以前)写 列帖装1帖
7 時代不同歌合絵巻 江戸時代以降写 巻子本2軸
8 伊勢新名所繪哥合 上下 江戸時代以降写 巻子本2軸
9A〔寛永行幸記〕存上巻 〔寛永〕刊 古活字版第2種ロ本 巻子本1軸
9B〔寛永行幸記〕存上巻(首欠)〔寛永〕刊 古活字版第2種イ本 巻子本1軸(※)
9C〔寛永行幸記〕存中巻 〔寛永〕刊 古活字版別種本 巻子装1軸
※ドキュメンテーション学科所蔵

 

pen

ごあいさつ

本学文学部ドキュメンテーション学科には、「古写本演習」「古版本演習」という、3年生以上の専門選択科目があります。

これは本学図書館が全国に誇る、和漢洋のさまざまな時代、さまざまな種類の、貴重にして学術的価値の極めて高い古典籍のうち、特に日本の古写本・古版本の実物を、受講生が自らの手で取り扱いながら、書誌調査の方法を実践的に学ぶ、という授業です。

この授業をきっかけに、卒業論文に取り組むという学生さんも、決して少なくありません。

ちなみに、学部生のうちから、このような貴重な古典籍そのものを教材にできる、という大学は、ちょっとほかにはないはずです。

本学科をはじめとする学生の皆さんは、こうした点、どの大学よりも恵まれた環境にいるということを、ぜひとも強く、深く、認識し、関心を持ってもらえればと思います。

 

さて、今回は展示の形で、本年度開講中の、両科目における実地演習の、現時点までの成果をお示ししたい、と思います。

両科目は別々の開講ですので、調査・展示対象とする古典籍も自ずと性格が異なってきます。

よってタイトルも別個に2つ付けることにしましたが、ともあれ解題の執筆、展示ケース内のキャプションの執筆、展示箇所の指定、展示作業など、多く受講生が行いました。

 

ただ、両科目は現在も進行中であり、受講生自身も初学者で、基礎から学んでいる真っ最中です。

そのため、各自担当の古典籍に対する理解に誤認があったり、解題の内容に不備不足があったり、また文章にぎこちなさがあったり、しているかもしれません。

実際、担当教員からしても、それはちょっと違うかな?と思われる点が、それなりにあります。

 

しかし今回は敢えて、よほどの事実誤認でもない限り、教員の判断で加筆修正したり、させたりすることは、極力控えることにしました。

内容に関しても、文章に関しても、です。

署名入りで、自分(達)自身で調べ、考えたことを、不特定多数の方々に知ってもらい、場合によっては批判される、意見をもらう、ということをぜひ体験し、かつ、その体験するところの意味を、展示側の学生さんにも、観覧側の学生さんにも、考えてもらう契機のひとつにでもなれば、と願っています。

 

文学部ドキュメンテーション学科  

伊倉史人・久保木秀夫

(hh)

2015年6月10日 (水)

貴重書ミニ展示「Darwin」開催中です

第59回貴重書ミニ展示

Darwin を

開催しています。

59darwin

 

進化論の最も重要な古典とされている

『種の起源』の著者チャールズ・ダーウィン。

彼が影響を受けた祖父、エラズマス・ダーウィンは、

博物学者であり、医師、詩人でもあった。

進化論に重要なこの二人の著作を展示します。

 

『種の起源』 

 チャールズ・ダーウィン 1860年

『植物園-二部からなる詩』

 エラズマス・ダーウィン 1791年

『自然の殿堂ないし社会の起源-詩と哲学的注釈』

 エラズマス・ダーウィン 1803年

 

【展示期間】 

平成27年6月8日(月)~6月22日(月)

【開館時間】

平日 8:50~20:00

土曜 8:50~18:00

日曜 閉館

【展示場所】 

鶴見大学図書館1階 新着本コーナー横

0608dw

ぜひご覧くださいconfident

(hh)

2015年5月11日 (月)

卒業生とのコラボ展示を開催中

図書館では、本日より第58回貴重書ミニ展示を開催中ですbookeye

新収資料から鹿島志を展示中です。 平成25 年度文学部ドキュメンテーション学科卒業生の小山田藤子さん卒業論文で『鹿島志』の研究を行いました(『『鹿島名所図会の研究』)。国文学研究資料館や早稲田大学図書館所蔵などの、各版の関係を明らかにしたたいへんな労作でした。この度の『鹿島志』の鶴見大学図書館収蔵を機会に、小山田さんと伊倉教授が一緒に調査及び解題の執筆に当たりました。研究成果をぜひともご覧ください。

展示期間:平成27年5月11日(月)~5月24日(日)

展示場所:鶴見大学図書館メインカウンター前

※5月24日(日)は、オープンキャンパスのため、図書館見学のみ行っています。

Photo_5 Photo_4 20150511_2

図書館へのアクセスはこちら

(kt)

続きを読む »

2015年3月12日 (木)

卒業記念展示のご案内

明日3月13日(金)は卒業式ですfuji

卒業記念として、

源氏物語扇面貼交屏風

(げんじものがたり せんめん はりまぜ びょうぶ)

を展示します。

Image0011

文化元[1804]年制作

解説(PDF)

 

展示日時:3月13日(金)9:00~16:00

展示会場:図書館エントランス

 

Cimg1364

実際に扇として使われたものが

残っていることは

非常に稀なのだそうですeye

 

年に1日だけの限定展示ですよupup

当日は閉館ですが

エントランスを開放しています。

記念撮影camerascissorsに、ぜひおいでくださいhappy01

(hh)

2015年1月14日 (水)

貴重書ミニ展示「挿絵の世界-ミルトンとキャロル」を開催中

第57回貴重書ミニ展示

「挿絵の世界-ミルトンとキャロル 学生たちによる展示のこころみ(6)」を開催しています。

展示期間:1月14日(水)~1月20日(火)

 ※展示期間が間違っていました。21日までではなく、20日までで終了します。

展示場所:図書館1階エントランス

開館時間:平日8:50~20:00(16日はセンター試験のため13:00で閉館します)

日曜・祝日 閉館

「書誌学特殊講義Ⅱ」(池田早苗先生)の学生による展示です。

準貴重書と一般図書も含まれています。

ポスター

2014年12月 2日 (火)

第27回ミニ企画展です。

第27回ミニ展示「書を学ぶための本」を開催していますsign01

2014年12月6日(土)開催の鶴見大学日本文学会秋季大会にあわせた展示です。

日本文学科松本先生が素敵なポスターを作成sign01

また、図書館にある資料も収集してくださいましたhappy02

展示している資料は、大会講演に関する書道字典のいろいろと、講演者である筒井先生の著書を中心に「書」について学ぶための図書と雑誌です。

※講演の内容は、『国文鶴見』49(2015年3月刊)に収載されました。

展示リストはコチラ(pdf

Img_0711

カウンター前の小さい展示ケースでは、貴重書ミニ展示も行っていますshine

Img_0712

その他、館内にも728の書架に書道関係の図書もありますので、あわせてぜひご覧ください。

(C.Y.)

2014年10月15日 (水)

「宇野千代書簡」と東郷青児

神奈川新聞「知の遺産II-図書館コレクションから-」にあわせて、貴重書ミニ展示を開催中です。

第6回目は『宇野千代書簡』です。今回が最後の掲載・展示です。

(執筆担当:文学部・日本文学科 片山倫太郎先生)

展示期間:10月14日(火)~10月18日(土)

時間:平日 8:50~20:00、土曜 8:50~18:00

場所:図書館1階 メインカウンター前

貴重書ミニ展示は一般の方もご覧になれます。

1

2 小説家・宇野千代が1934(昭和9)年5月19日に、山口嘉夫に宛てた書簡mailto


同居中の画家・東郷青児が留守だったことを詫び、東郷の画会の開催や絵を買ってくれる客の紹介を依頼する内容となっています。
ぜひ宇野千代の自筆をご覧ください。memopencil

(kt)

2014年10月 6日 (月)

勅撰和歌集の古典籍と古筆切

神奈川新聞「知の遺産II-図書館コレクションから-」にあわせて、貴重書ミニ展示を開催中です。

第5回目は『古今和歌集』です。

(執筆担当:文学部・ドキュメンテーション学科 久保木先生)

展示期間:10月6日(月)~10月11日(土)

時間:平日 8:50~20:00、土曜 8:50~18:00

場所:図書館1階 メインカウンター前

貴重書ミニ展示は一般の方もご覧になれます。

Photo_3 古今和歌集 伝津守国冬筆 南北朝時代写

勅撰和歌集とは、天皇(上皇・法皇)の命によって撰ばれた和歌選集のことで、10世紀初頭の『古今和歌集』に始まり全21作品(二十一代集)が成立しています。
『古今和歌集』は、醍醐天皇の勅命により編纂され、撰者は紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑の4人と言われています。とても有名な歌人ばかりですねhappy01flair

今回展示しているのは、その一番初めの勅撰集『古今和歌集』"巻第一春歌上"の頁です。
在原元方の「ふるとしに春たちける日よめる」「年のうちに春は来にけりひととせを去年こぞとや言はむ」~
ぜひご覧になってください。

(kt)