2012年9月28日 (金)

日本文学会のこと【お知らせ】

今年度の日本文学会秋季大会は、次の通り開催されます。

日時 平成24年11月17日(土)午後2時30分~

会場 鶴見大学5号館2階201番大教室

講師 田口 暢穗(本学教授)

    私の古典詩読法―モチーフと形式と―

田口教授は、唐詩の伝統的訓詁に関する第一人者です。

永い教育研究活動に裏打ちされた、含蓄のあるお話になろうかと。

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鎌倉時代書写の『白氏文集』新楽府、光泉寺切と呼ばれる名物切です。

白楽天の話題もきっと出てくるでしょう。

最終講義も兼ねての講演ですので、お誘いあわせてお越しください。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年9月16日 (日)

季節の味【在学生のみなさんへ】

読書に最適、でもありますが、食べ物のおいしい季節です。

徳島から、スダチが到来しました。こうなると、秋刀魚ですね。

ちゃんと「さんま」と読んで、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」を思い出せば、上々。

詩では『殉情詩集』がお勧めです(ただし「秋刀魚の歌」は入っていません)。

今様・短歌の他に、小説・随筆・評論もたくさん書いた、いかにも文豪。

ひとつくらいは、読んでください。

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スダチと瀬戸の小皿です。

小皿は江戸時代初期でしょうか。黄色地に緑の斑紋が好もしい。

緑は銅の釉薬です。

銅は、焼成法次第で紅にも発色しますが、これについてはまた別の機会に。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年9月 6日 (木)

今昔【高校生・受験生のみなさんへ】

秋の風情が感じられるようになりました。

これからもうひとがんばり、の季節です。

ところで新しい建物が出来た時、ここに何があったのだろう、と思うことはありませんか。

ほんの少し前のことがわからなくなったり、あっという間に変わってしまったり・・・

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100年ほど前、谷口香嶠(1864~1915)が描いた洛西長岡の秋です。

平城京の後、しばらく都がおかれました。

のどやかで、なんとなく古雅な風景が広がっています。

住宅地となった今からは、想像も出来ないほどの変化です。

さて、「のどやかで古雅な」文学を現代の情報機器に結びつけるとどうなるでしょう。

9月16日(日)のオープンキャンパスで、ちょっとお話しします。

秋の横浜へ、どうぞ。

鶴見大学日本文学科

2012年8月29日 (水)

野の花【研究室から】

秋の七草の季節です。

野の花では萩が一番のおなじみでしょうか。

最近は女郎花を見かけることが少なくなりました。

何々植物園と銘打った場所で、七草を眺めることは勿論出来ます。

お勧めは、殿ケ谷戸庭園(国分寺市)。

野草の飾らない風情は、とてもいいものです。

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高麗青磁の油壺、たぶん13世紀。

白と黒の土を象嵌、花模様を描いています。

作り手の意図はよくわかりませんが、日本の古陶好きは野菊だと考えてきました。

(菊の花に関する古典文学について、ちょっと調べてみてください)

化粧用香油を入れたものでしょう。持ち主は、どんなひとであったのか。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年8月19日 (日)

残暑【高校生・受験生のみなさんへ】

夏休みも折り返し点を過ぎました。

計画通り進んだ人も、予定をこなせていない人も、健康第一で乗り切ってください。

さて、夏空に豪壮な藁葺き屋根。

文久年間(1861~1864)に建てられ、今なお健在です。

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健在どころか、なんと現役の病院!

大きな百日紅(サルスベリ)もすてきです。

当世風の施設にはない魅力が、確かにあります。

けっして古びないおもしろさ、古いがゆえの味わいと美しさ。

8月26日(日)は、オープンキャンパス

そんなお話が出来れば、と思っています。

鶴見大学文学部日本文学科

2012年8月 8日 (水)

一息いれて【在学生のみなさんへ】

まだ暑い日が続きます。

夏休みの課題が一歩一歩完成に近づく時期でもあります。

存分に取り組み、大きな成果をあげられることでしょう。

(これが皮肉と聞こえるようでは、いけません)

疲れたらちょっと一休み。

定番は、お茶とお菓子です。

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絵唐津の小皿に、薯蕷饅頭「青かえで」を載せました。

老舗の道具屋さんに褒められた器です。

(確かに好もしい皿ですけれど、プロが褒めるほどではないでしょう)

ここから、教訓。

専門家は素人をおだてるのがうまいので、調子に乗ってはいけません!

鶴見大学文学部日本文学科

2012年7月28日 (土)

苔清水【高校生・受験生のみなさんへ】

暑中お見舞い申し上げます。

体調管理には十分気をつけてください。

ただし、暑いからと言って、家の中に籠もりきりはよろしくありません。

8月5日(日)、オープンキャンパスに是非どうぞ。

日本文学科でも、ささやかな体験コーナーを設ける予定です。

さて、夏の日、木立をくぐり抜け山道をたどると、思いがけない発見もあります。

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岩のくぼみに、湧水!

「苔清水」の表現がぴったりの光景です。

この言葉は、江戸時代の風流人が好んで使いました。

2012年7月16日 (月)

見かけない花【研究室から】

先週(14日)の日本文学会は、川端文学を題材にした師弟そろい踏み。

在学生の他、卒業生や大学院修了生の皆さんが来てくださったことに感謝します。

貞政少登先生(名誉教授・日展審査員)のご来駕も特筆ものです。

会のあとは、にぎやかな懇親会となりました。

ところで、古典文学の中ではなかなか見つけられない花があります。

可憐優美なホタルブクロ(ツリガネソウ)もそのひとつ。

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別の名前で、ひっそりと隠れているのかもしれません。

南蛮ギセルの無骨さも、「思ひ草」となれば風情豊かであるように。

2012年7月 2日 (月)

むかしの記号【高校生・受験生のみなさんへ】

急に暑くなりました。

健康管理には十分気をつけて下さい。

この季節、ホトトギスがしきりに鳴いています。

餌(主として虫)や托卵のための巣(多くはウグイス)が豊富なのでしょうか。

古典文学の中にも、ホトトギスがたくさん登場します。

室町時代後期写の『古今集』から、夏の部。

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4行目上方に、朱の書き入れ。

斜めのは合点、丸は声点(しょうてん=アクセント記号)です。

拡大してみます。

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何百年も前の書物が読める、書いた人の意図がわかる。

日本文学科では、こんな勉強もします。

2012年6月24日 (日)

花【在学生のみなさんへ】

アジサイが咲くと、そろそろ定期試験の季節です。

人目を引く花ばかりではありません。

地味ながら昆虫たちの働き場所となり、大切な食材につながるもの。

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にんじんの花です。

ミツバチの勤勉な後ろ姿もご登場。

6月28日(木)午後、大学院の説明会があります。

6号館1階奥、院生控え室へ、どうぞ。

ささやかなおもてなしも用意されている、そうです。

地味だけれど実証的で有用な研究が、誇りです。