取り合わせ【研究室から】
6号館から本山鐘楼にかけて、紫陽花がたくさん咲いています。
少し盛りを過ぎたようですけれど、まだ十分鑑賞出来るでしょう。
万葉歌人に詠まれてはいるものの、その後はあまり注目されなかった歌題です。
院政期から用例が増えてきます。
紫陽花の特徴を「よひら」(4枚の花弁)と捉えるのが、和歌の約束事。
さまざまな景物と取り合わせます。
「あぢさゐのよひらの八重に見えつるは葉ごしの月のかげにぞありける」
これは、紫陽花と月光。
「あぢさゐの下葉にすだく螢をばよひらのかずの添ふかとぞ見る」
紫陽花と螢は、なかなか幻想的で美しい。
白磁の壺と取り合わせてみますと・・・
青白磁の、ちょいと取り澄ました雰囲気とはまた別の味わいです。
手前の蓋は蓮の葉をかたどっています。元か、下っても明初と言うところ。
さて、先ほどの和歌2首、作者はだれかお調べください。
紫陽花にちなむ和菓子もいくつかあります。
また、ユスラウメ・ヤマモモ・桑の実など、野趣横溢の味も楽しめる季節です。
食べ物の話は、次回。
鶴見大学文学部日本文学科研究室