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2021年12月

2021年12月28日 (火)

雪の花【研究室から】

さすがに年の暮れ、寒いですね。

あちこちで大雪になっているようです。

雪を花に見立てる趣向は古典和歌に多く見られます。

梅や桜になぞらえたり、雪そのものを花ととらえたり。

なるほど雪は六弁の花のようです。

古河のお殿様土井利位は、雪の結晶を研究して『雪華図説』を出しました。

(利位は、としつらと読みます)

無骨な刀装具にも雪の花が一輪。Photo_2「初雪」の家紋に少し似ています。

絶妙の配置に見えますが、皆様はどう思われますか。

担当者は、しゃれた意匠にいたく感心。

今年最後の記事となりました。

「冬ながら空より花のふりくるは雲のあなたは春にやあるらむ」

では、明春。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年12月16日 (木)

燈火ちかく【研究室から】

続けて「衣(きぬ)縫う母は」が出てくる方は、相当のご年配でしょう。

唱歌「冬の夜」の1番です。

2番の「過ぎしいくさの手柄を語る」を覚えておられる方は、もっとご年配。

などと言う話ではありません。

草子巻物を広げ、火を近くともしながら推敲をかさねた歌人がいました。

若くしてなくなった宮内卿が、その人です。冬の歌をまず1首。

「時雨つる木のした露はおとづれて山ぢのすゑに雲ぞなりゆく」

よく知られているのは、恋の歌。

「聞くやいかにうはの空なる風だにも松に音するならひありとは」

享年20歳くらいと言われております。どんな女性だったのでしょうか。

『歌仙部類抄』に絵姿がありますので、お目にかけます。

(勿論、絵師が想像して描いた図)Photo『歌仙部類抄』の絵は、丸顔の親しみやすい女性が多く登場します。

橋本直香の撰、絵は高島千春です。

もっとも愛らしい(と担当者が考える)図をご紹介して、今回はおしまい。

冬の夜長にじっくりと読書なさってください。Photo_2

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年12月 2日 (木)

白菊【研究室から】

近代韻文史を学ばれた方は、井上哲次郎や落合直文の名が思い浮かぶでしょう。

古典和歌を読んだ方は、霜にうつろう花がおなじみ。

食い意地の担当者ですから、栗蒸し羊羹と白菊の取り合わせです。

羊羹は、やはり漱石先生のご意見通り、青磁に盛ります。

(この意見は、どの小説に出てくるのでしょうか)

白菊を象嵌した、高麗青磁の皿をご紹介。Photo_2多分、13世紀の作だと思います。

轆轤で挽き白土を象嵌してまず素焼き、次に青磁釉をかけて再度焼き上げます。

青磁の発祥地である中国にもない、高麗独自の技法です。

ただし近代以降の作が氾濫しています。

万一お求めになる時はご注意ください。

(筋の悪い贋作も、研究的な模作も、とにかく市場にあふれています)

近代韻文史に戻って、今週土曜日(4日)日本文学会の大会がございます。

山田先生は、短歌と飛行機のおもしろい組み合わせでご講演。

入場無料・予約不要ですので、是非お越しください。

お待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室