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続けて「衣(きぬ)縫う母は」が出てくる方は、相当のご年配でしょう。
唱歌「冬の夜」の1番です。
2番の「過ぎしいくさの手柄を語る」を覚えておられる方は、もっとご年配。
などと言う話ではありません。
草子巻物を広げ、火を近くともしながら推敲をかさねた歌人がいました。
若くしてなくなった宮内卿が、その人です。冬の歌をまず1首。
「時雨つる木のした露はおとづれて山ぢのすゑに雲ぞなりゆく」
よく知られているのは、恋の歌。
「聞くやいかにうはの空なる風だにも松に音するならひありとは」
享年20歳くらいと言われております。どんな女性だったのでしょうか。
『歌仙部類抄』に絵姿がありますので、お目にかけます。
(勿論、絵師が想像して描いた図)『歌仙部類抄』の絵は、丸顔の親しみやすい女性が多く登場します。
橋本直香の撰、絵は高島千春です。
もっとも愛らしい(と担当者が考える)図をご紹介して、今回はおしまい。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
近代韻文史を学ばれた方は、井上哲次郎や落合直文の名が思い浮かぶでしょう。
古典和歌を読んだ方は、霜にうつろう花がおなじみ。
食い意地の担当者ですから、栗蒸し羊羹と白菊の取り合わせです。
羊羹は、やはり漱石先生のご意見通り、青磁に盛ります。
(この意見は、どの小説に出てくるのでしょうか)
白菊を象嵌した、高麗青磁の皿をご紹介。多分、13世紀の作だと思います。
轆轤で挽き白土を象嵌してまず素焼き、次に青磁釉をかけて再度焼き上げます。
青磁の発祥地である中国にもない、高麗独自の技法です。
ただし近代以降の作が氾濫しています。
万一お求めになる時はご注意ください。
(筋の悪い贋作も、研究的な模作も、とにかく市場にあふれています)
近代韻文史に戻って、今週土曜日(4日)日本文学会の大会がございます。
山田先生は、短歌と飛行機のおもしろい組み合わせでご講演。
入場無料・予約不要ですので、是非お越しください。
お待ちしております。
鶴見大学文学部日本文学科研究室