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2021年3月

2021年3月30日 (火)

爛漫【研究室から】

キャンパスの桜が見事です。

学生さんの姿がまばらなのは、少し寂しいところ。

やはり活気と若い力に満ちた大学でなくては。

さて、おなじみ図書館脇、満開の桜です。

Photo江戸時代のはじめ、日本にやってきた朱舜水は桜を好みました。

「中国ニコレヲ有ラシメバ、マサニ百花ニ冠タルベシ」とも言っております。

水戸光圀公(あの黄門様です)に仕え、故国に帰ることはありませんでした。

名儒と評価される一方、「南京ノ漆工」にすぎないとの説も。

なお、図書館は設備・サービスともに新しくなっております。

活用してみてください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年3月19日 (金)

春の日差し【研究室から】

春たけなわ、花粉も大いに飛んでいます。

数年前まで研究棟近くに見られたカタクリは、姿を消してしまいました。

やむをえず郊外の山城跡まで足を伸ばし、春の妖精と対面。

(spring ephemeraと言い、複数形はephemerae。なぜでしょうか)

山の斜面、日当たりの良いところに咲いています。Photoこれほど魅力ある花ながら、万葉集に1首詠まれたのみ。

(大伴家持の歌、ご自分でお探しください)

近代に至るまで、文学作品に登場することはないと思います。

不思議なことではありませんか。

近くの喫茶店で一休みしようと思ったら、この日もお店が一休み。

COVID19の影響です。

ではもう1枚お目にかけて、今回はここまで。Photo_2鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年3月 8日 (月)

唐猫【研究室から】

源氏物語には、3月の出来事が数多く描かれます。

北山へ謔病まじないに出かける若紫巻、朧月夜と再会する花宴巻、

須磨の謫居も、明石姫君誕生も、絵合も3月。

ことに衛門督柏木が女三宮の姿を見てしまう場面はよく知られています。Img_20210308_0001慶安3年(1650)跋絵入源氏物語から、見開きの左側を載せました。

御簾の内側に立つのが女三宮、散る花の下には柏木。

簀子敷に大小の猫がいて、小さい方の首には綱が結ばれています。

「唐猫のいと小さくをかしげなるを、すこし大なる猫おひつづきて」

和猫ではなく、中国より渡来の猫です。

この綱によって御簾の端が引き上げられました。

「言ひしらずあてにらうたげ」な女三宮に、柏木は心を奪われてしまいます。

あとはご自身でお読みください。

なお、金沢文庫に貴重な古典籍が数多く所蔵されていることはご存じでしょう。

ネズミよけとして、中国から猫を取り寄せています。

「金沢猫」は評判が高く、近代になってもこの名前が残っていました。

称名寺あたりの野良猫は、ひょっとすると外来種の血筋かもしれません。

鶴見大学文学部日本文学科研究室