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2021年4月

2021年4月25日 (日)

春から夏へ【研究室から】

緑が日一日と濃くなっています。

この季節の花は、まず藤でしょう。

勅撰集では、春のすえに置かれたり夏の初めを飾ったりします。

「夏にこそ咲きかかりけれ藤の花松にとのみも思ひけるかな」

これは初夏の例。

「暮れぬとは思ふものから藤なみの咲けるやどには春ぞひさしき」

もちろん、晩春の詠です(出典はご自分でお調べください)。

すこし珍しい花を見ました。Photo藤は紫か白が通り相場、これは薄紅です。

香り高く、蜂が飛び回っています。

なお、歴史的仮名遣いでは「ふぢ」。

よって「淵」の掛詞としてもしばしば使われます。

「むらさきのゆゑに心をしめたればふちに身投げむ名やはをしけき」

外出が難しいとき、書物の中を散策するのはとてもよいこと。

禍転じて福となす、かどうかは、心がけ次第です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年4月11日 (日)

花筏【研究室から】

新学期です。

キャンパスに少し賑わいが戻ってきました。

図書館でも学生さんの姿を以前より多く見かけます。

さて落花繽紛の候、桜の盛りは短いもの。

(八重桜はまだしばらく見られます)

散った花びらが連なって流れに浮かぶ様子を、「花筏」と呼びます。

室町時代から使われた、風雅な言葉です。

文学のみならず、美術工芸にも花筏の意匠が登場します。

武具にまで現れるところ、とても面白いと思います。Photo_2京透かしの鉄鍔です。

洗練のデザインも錆色も抜群、ほれぼれする美しさ!

なお「花筏」と言う落語もあります。

ここから先は、ご自分でお調べください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室