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2020年11月

2020年11月29日 (日)

誌上旅行【研究室から】

流行病が終息せず、動きづらい日々の連続です。

ならば、書物の中を旅しようではありませんか。

古事記万葉から近現代の作品まで、日本文学は旅の宝庫です。

紀行でも日記でも、旅をあつかった小説でも、和歌俳諧でも、お好み次第。

旅の手引き書が、これまたなかなかおもしろい。

100年ほど以前、鳥瞰図絵師として活躍した吉田初三郎の作をご紹介します。

『鉄道旅行案内』の挿絵です。

初三郎の絵の多くには、富士山が描き込まれています。

九州であれ北海道であれ、ユニークな鳥瞰図のどこかに富士山が鎮座。Photo東海道は鶴見のあたり、秀麗な富士が自然に配置されています。

右下の平間寺は、川崎大師。

総持寺と海の距離が近いのは、何せ1世紀前ですから。

花月園も見えます。

海に和船がうかんでいて、まことにのどか。

いながらにして旅が出来るのも文学の効能、書物の功徳です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年11月17日 (火)

晩秋の彩【研究室から】

春夏の風景以上に、秋は色どり豊かです。

月並みながら、まずは紅葉。

中世の山城跡に出かけました。

城跡のお社脇では紅葉が見事です。Photoなじみの喫茶店で一休み、と思ったら、コロナ禍のためお店が一休み。

次は、やはり食い意地。

柿の葉を裏返して柔らかい色調としたところが、新機軸です。

鮨それ自体は変えず、包みの葉の自然な色づきを利用する着想に感心しました。

器は古伊万里染付、多分200年以上前の作でしょう。Photo_2担当者の田舎も柿の名産地ですが、このような工夫はありません。

では、寒さに向かうこのごろ、お風邪などめしませぬよう。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年11月 3日 (火)

何でもおいしい季節【研究室から】

寒さを意識するこの頃、まずお茶がおいしくなりました。

(抹茶ならば上々、もちろん煎茶でも玄米茶でも結構)

お茶がおいしくなれば、なんといっても和菓子です。

季節にふさわしいものはいくらもありますが、今回は栗蒸し羊羹。

ついでに申せば、文学史上酒飲みが目立ちますけれど、甘党も結構多いのです。

尾崎紅葉・夏目漱石・泉鏡花・芥川龍之介、室生犀星もお菓子好きでした。

(鏡花宅では、奥さまの淹れるほうじ茶も名物)

さて漱石先生のお説に従い、羊羹を青磁の器と組み合わせます。Photo高麗の蓮弁陽刻白泥文皿、5客の揃いが自慢です。

(漱石の意見がどこに出てくるかは、お探しください)

そして濃いお茶を一杯、皆様はどのような器を使われますか。

いずれ、茶器の話題も取り上げます。

一休みしたら、調べ物の続きをしなければ。

鶴見大学文学部日本文学科研究室