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2020年11月29日 (日)

誌上旅行【研究室から】

流行病が終息せず、動きづらい日々の連続です。

ならば、書物の中を旅しようではありませんか。

古事記万葉から近現代の作品まで、日本文学は旅の宝庫です。

紀行でも日記でも、旅をあつかった小説でも、和歌俳諧でも、お好み次第。

旅の手引き書が、これまたなかなかおもしろい。

100年ほど以前、鳥瞰図絵師として活躍した吉田初三郎の作をご紹介します。

『鉄道旅行案内』の挿絵です。

初三郎の絵の多くには、富士山が描き込まれています。

九州であれ北海道であれ、ユニークな鳥瞰図のどこかに富士山が鎮座。Photo東海道は鶴見のあたり、秀麗な富士が自然に配置されています。

右下の平間寺は、川崎大師。

総持寺と海の距離が近いのは、何せ1世紀前ですから。

花月園も見えます。

海に和船がうかんでいて、まことにのどか。

いながらにして旅が出来るのも文学の効能、書物の功徳です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室