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2018年12月

2018年12月29日 (土)

冬の花【研究室から】

と言っても、福寿草ではありません。

自転車を乗り回していて、出会った黄色の花。

蝋細工のような光沢と濃い香りの先から、冬の日が斜めに差しておりました。

Photo ロウバイです。

勿論、うろたえたわけでもありません。

ここで、近代文学に関心のある方は、立町老梅を思い出していただけますか。

(『吾輩は猫である』に出てきます。猫は相当の難物ですよ)

思い出されなかった方は、文庫本と共に除夜の鐘をどうぞ。

よいお年をお迎えください。来年もご贔屓に。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年12月18日 (火)

若書き【研究室から】

卒業論文はいかがでしたか。

思い通りに、それとも、もう少し頑張れば・・・。

次は定期試験です。あともう一山、それを過ぎると春が近づきます。

さて、みなさんとほぼ同じ年齢で、近代の作家は何を書いていたでしょうか。

漱石は比較的遅い出発ですが、学生の頃見事な漢文で『木屑録』を綴ります。

尾崎紅葉はすでに大家かつ売れっ子でした。

面白いのは、芥川龍之介の最初の作品が『老年』だと言うこと。

幸田露伴も、若い時代に晩歳老境を語る小説を書いています。

『太郎坊』です。音に聞こえた『五重塔』よりずっとおもしろいでしょう。

頭の薄くなった亭主の昔話仕立てですが、相手をするおかみさんも見事。

「伊万里の刺身皿」「同じ永楽」「中は金襴地で外は青華で」などと

すらすら続けられる女性が、はて、向こう三軒両隣におられましょうや。

道具修行をかなり積まないと、このおかみさんのようにはなりません。

左利き必読、となれば、盃を並べてみたくなります。

Photo 古伊万里染付筒型猪口から左回りにご紹介。

絵瀬戸盃・明呼子盃・無地志野猪口・李朝粉引盃です。

台は李朝の漆器、時折これで飯を食います。

(担当者は、情けないことに下戸)

では、お風邪など召しませぬよう。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年12月 5日 (水)

輝く音楽【研究室から】

今日は、モーツアルトの命日です。ご存じでしたか。

明快な構成、繊細で陰翳に富む旋律、絶妙の転調・・・

彼の音楽を聴くことは、大きな喜びです。

音楽史上最高の神童は、亡くなるまでその楽才を輝かせていました。

と言うより、才能を伸ばし続けた、のではないでしょうか。

十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人、の皮肉とまったく逆です。

(講師で俊英、准教授で知恵者、教授になったらただの人、とは申しません)

天才を偲んで、その頃作られた器をご紹介します。

Photo ひょっとすると、バッハくらいまで遡るかもしれません。

捻文輪花の古伊万里染付鉢、お菓子は添え物です。

お定まりのレクイエムを出さない、このひねくれが担当者の身上。

さて、今週土曜には日本文学会秋季大会がございます。

どうぞお越しください。お待ちしております。

鶴見大学文学部日本文学科研究室