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2018年8月

2018年8月28日 (火)

日はつれなくも【研究室から】

暑いですね、秋の風はどこを吹いているのでしょう。

とは言え、朝夕はさすがに涼しく虫の声も高くなりました。

馴染みの和菓子屋曰く、「ビールの旨い時は菓子が売れません」

これからが甘い物の美味しい季節です。

南蛮文化の香りを伝える菓子と安南の器とを取り合わせてみます。

金平糖は16世紀末、海を越えてやってきました。

織田信長は、最も早く金平糖を味わった日本人のひとり。

安南の香合もそのころの焼き物です。

(「安南」はどこの国でしょうか)

Photo 乳白色の肌に滲む染付、模様は明景徳鎮の青花に倣っています。

後ろの小風呂敷は貞政少登先生が作られました。

さて、9月17日(月)はオープンキャンパス。

本学卒業生の皆さんが、大学生活のあれこれを語ってくれる予定です。

秋の学園へ、是非どうぞ。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2018年8月10日 (金)

市井の愛書家【研究室から】

台風一過、涼しくなったかと思えばまたこの暑さ!

夏を過ごす最高の、とは申しませんが、最良の方法の一つは、読書です。

普段読まない(読めない)本を休みの間に、是非どうぞ。

さて、今年は絵師鰭崎英朋の没50年です。

英朋の名前をご存じの方は、近代文学もしくは近代絵画の相当な通でしょう。

鏑木清方と共に小説の挿絵を多く描きました。

特に泉鏡花の作品では、単なる挿絵以上の出来映えを示しています。

清方とは月岡芳年の孫弟子、仲のよい友達でした。

しかし一方は画壇の巨匠と仰がれ、一方は町絵師として終わることに。

清方の場合彼の文学趣味が画業に幸いしたでしょうし、

英朋の職人気質と並外れた器用さが、大成を妨げたのかもしれません。

(このあたりの機微は、別の機会に)

趣味の将棋は、関根金次郎名人に教わって有段の腕前。

書も趣味の一つであり、日本画家らしく仮名の上手、隷書また見事です。

古書籍を集める趣味もありました。

しゃれた蔵書印を使っています。

Photo この印が押された本にはなかなか出会いません。

なお、英朋は将棋の駒の字を書いています。

凝った隷書で、これも見かけることは少ないと思います。

贅沢は申しませんので、英朋銘虎斑島黄楊の彫り駒が一組ほしい。

担当者の夢です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室