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2017年12月

2017年12月29日 (金)

師走の月【研究室から】

大学はお休みに入りました。

通年30週の授業を確保せねばならず、休暇の短縮は必至です。

そして仕事の遅い担当者は、今日もあの本を開きこの資料を探し・・・

研究室からご本山の境内に出ると、月が宵の空高くかかっておりました。

Cimg7924_3 『源氏物語』朝顔の巻には、冬の月のおもむき深さが語られています。

そして批判の対象となったのが、師走の月を興ざめとする意見でした。

清少納言がそう言ったと古い註に書かれていますけれど、

現存『枕草子』諸本には見えません。

なお、『二中歴』には「十二月月夜」(第十三、十列歴)があります。

『枕草子』の物づくしと李義山の雑纂との類似は、よく言われるところ。

その指摘は、中村蘭林『講習余筆』が早いのでは、と思っています。

こんなことも研究の種。

では、よいお年をお迎えください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2017年12月19日 (火)

冬の夜に思うこと【研究室から】

半ば個人的なお話です。

秋山虔先生がなくなられて、2年たちました。

(つまり3回忌)

恩師から教わったこと、叱られたこと、冬の夜長に思い出します。

鶴見の催しによくいらっしゃって、貴重書を熱心に眺めておいででした。

最後に来てくださった時には、御年90歳。

お土産に甘納豆をさしあげました。

召し上がってくださったかと存じます。

根来の塗皿に盛れば、こんな具合です。Photo 根来は室町時代の作、伝世のいい味わいを持っています。

(甘納豆は室町時代ではありませんのでご安心ください)

これから定期試験・卒業論文口頭試問と続きます。

笑顔の春を迎えられるよう、精進願います。

さて、お茶でも淹れましょうか。

我が師の恩を偲びつつ。

(不謹慎にも「和菓子の恩」と駄洒落なんぞを繰り出しながら)

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2017年12月 6日 (水)

ご報告【研究室から】

先日の日本文学会では、松林伯円の旧居が大きな話題。

ご本山近くの池のほとりに、伯円は晩年を送りました。

灌漑用の池は三つあり、下ノ池がゆかりの場所です。

残念ながら、現在三つとも埋め立てられています。

おそらく伯円も杖を曳いたであろう上ノ池跡へ、本日出かけてみました。

駐車場となっていますが、岸の面影はなんとか感じ取れます。

そして、池の跡のほぼ中央に、龍神様のブロンズ小像が!

Photo 豊かに水を湛えていた頃、岸辺には龍神の祠があったのでしょう。

池畔に憩う伯円老人、静かに色づく雑木林。

百年の昔を思い浮かべてみてください。

中ノ池についても、何か分かりましたらご報告します。

鶴見大学文学部日本文学科