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2023年12月

2023年12月20日 (水)

冬景色【研究室から】

さすがに冬、研究棟のあたりでは落葉が風に舞っています。

曇り空から雪でも降ってくるような天気が続きそう。

最近は、都会の雪が少なくなりました。

江戸とまでは言わずとも、戦前まではよく積もったようです。

(残念ながら、担当者の全く知らない時代)

では、明治の雪景色をどうぞ。Photo隅田川東岸から浅草方面を眺めた図です。

赤く塗られた建物は、待乳山の聖天様。

明治28年の石版画ですので、樋口一葉が名作を書き綴っていたころです。

『たけくらべ』『にごりえ』は、この年に書かれました。

担当者のおすすめは『にごりえ』ですが、『十三夜』もなかなかおもしろい。

ついでに申しますと、落語の『癇癪』は『十三夜』を軽くした作り方です。

さらについでを申せば、桂文楽の『癇癪』は絶品でした。

大晦日までに一葉の『大つごもり』を是非一読してください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2023年12月 4日 (月)

四行詩【研究室から】

この言葉から、何を思われますか。

五言七言の絶句、梁塵秘抄の今様はなかなか良い答えです。

(近代今様の手練れは、佐藤春夫)

三行ならば石川啄木の短歌を思い出してください。

でも今日はペルシャの四行詩ルバイヤート。

数学・天文学に優れたオマル・ハイヤームは、ルバイヤートの名手でした。

(当時世界最高水準の数学者で、暦の研究でもグレゴリオ暦を超えています)

フィッツジェラルドの英訳により、欧米全体で高く評価されます。

では、1872年版をご覧ください。Epson002巻頭にハイヤームの略伝があり、これがまた良く出来ています。

日本語訳もいくつかありますので、英訳と対照してはいかが。

(太宰治も小説中に引用しています)

ついでに申しますと、今日(4日)がハイヤームのなくなった日。

日本で言えば、平安時代を生きた詩人です。

その頃、我が国では今様が流行していました。

東西の四行詩を読み比べてみるのも、おもしろいでしょう。

さて、洋書を手にしている方、古典籍を読んでいる人、

(影印本や複製本でも結構)

あなたはとっても素敵です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室