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2022年10月

2022年10月27日 (木)

食欲の秋【研究室から】

山のものも海のものも、おいしい季節です。

里には、柿に栗、芋に豆、何と言っても新米。

ではありますが、文学部ですから、やはり書物の中の食べ物を。

文明開化の頃、英会話熱が高まりました。

教養のため、というよりは、商売上の便宜をはかって、です。

ちょいと珍しい会話の本をご紹介します。

外国人相手の料理屋で働く女性向けでしょうか、書名は『英語こと葉づかひ』。Photo明治20年(1887)、下町本所の出版です。

We have some excellent grapes.に対し、

「私どもにはよい葡萄があります」はまあまあの訳。

しかしThere are some for you.の

「召しあがりませんか」はなかなかこなれた言い方ではないでしょうか。

100年以上前の仲居さんたちがどんな発音をしていたか、知りたいですね。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2022年10月10日 (月)

神無月のころ【研究室から】

徒然草の「栗栖野といふ所を過ぎて」を思い出される方もおられるでしょう。

が、源氏物語の帚木です。

「神無月のころほひ、月おもしろかりし夜」に女性の家を訪れる話。

「ころほひ」が「ころ」となっている本もありますので、徒然草と同じ表現。

ある殿上人が女性のところを訪れると言うので、同車して出かけてみると

なんと自分の恋人の家でありました。Photo「風にきほへる もみぢの みだれなど あはれに けにみえ」とあります。

江戸時代前期の能筆、おっとりと品の良い書です。

書き手が特定できるのではないか、と思いますが、まだ調べておりません。

紅葉の金泥下絵も洒落ています。

ことしは何処の紅葉を眺めましょうか。

鶴見大学文学部日本文学科研究室