食欲の秋【研究室から】
山のものも海のものも、おいしい季節です。
里には、柿に栗、芋に豆、何と言っても新米。
ではありますが、文学部ですから、やはり書物の中の食べ物を。
文明開化の頃、英会話熱が高まりました。
教養のため、というよりは、商売上の便宜をはかって、です。
ちょいと珍しい会話の本をご紹介します。
外国人相手の料理屋で働く女性向けでしょうか、書名は『英語こと葉づかひ』。明治20年(1887)、下町本所の出版です。
We have some excellent grapes.に対し、
「私どもにはよい葡萄があります」はまあまあの訳。
しかしThere are some for you.の
「召しあがりませんか」はなかなかこなれた言い方ではないでしょうか。
100年以上前の仲居さんたちがどんな発音をしていたか、知りたいですね。
鶴見大学文学部日本文学科研究室