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2022年6月

2022年6月30日 (木)

薫り、ほのか【研究室から】

猛烈な暑さを口実に、なまけております。

日が傾いてから思い立って散策。

少し歩くだけでも汗が噴き出してきます。

蓮のつぼみを見つけて、ほっとしました。

まだ開いてはいませんが、それでも水の上にほのかな薫り。Photo_2蓮の沢は水が冷たく、手を浸して一息つきました。

「蓮の香や水をはなるる茎二寸」(蕪村)

帰宅して「さあ調べ物を」と言うほど殊勝ではありません。

また、ぐうたらの続きです。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2022年6月16日 (木)

嘉祥【研究室から】

今日(6月16日)は、お菓子の贈答が吉例となっておりました。

江戸時代の末まで行われていたようです。

現在は「和菓子の日」に呼び名が変わっています。

年号の嘉承(848~851)に縁があるとも言われますが、確証なし。

南宋の嘉定通宝16枚で菓子を購入した、との説もあります。

いわれはともかく、おいしいものをお気に入りの器で楽しみましょう。Photo

薄緑の栗饅頭? いえいえ梅の実のデザインです。

この季節、青梅がおなじみですけれど、漢籍には黄色の梅の実が出てきます。

熟した梅の実や熟する時期は「黄梅」。

そして高坏風の器は、中国南方の素朴な染付です。

暑くなったら、アイスクリームを載せてもおいしそう。

なお、先日の「庖丁、研ぎまさあ」は好評でした。

黒板先生に拍手。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2022年6月 2日 (木)

北条時政と義時【研究室から】

鎌倉殿の噂話が好評のようです。

(担当者はテレビをほとんど見ませんので、実のところ不案内)

先日の記事の通り、かつて合同研究室で「権記の会」が開かれていました。

熱心に指導してくださったのは、黒板伸夫先生です。

ある時、いつも穏やかな先生のお顔が、少し引き締まったように見えました。

そして、ゆっくりとお話が始まります。

「鎌倉に、刃物を研いでまわる職人がおりまして」

先生のご専門は平安時代史ですが、有職故実や制度史にもお詳しい。

中世都市の珍しい史実について話されるに違いない、と一同謹んで拝聴。

先生、続けて「庖丁、研ぎまさあ!」。

笑ってよいものかどうか、迷っておりますと、追い打ちがかかります。

「あとから息子が、おやじ、止しとき」。

親子二代の名を織り込んだ、先生渾身の洒落です。

念の為、余計な説明をしますと「庖丁、研ぎまさあ」(北条時政)、

「止(よ)しとき」(義時)です。

先生のうれしそうなお顔が、今も目に浮かびます。

では、北条時政・義時の時代に作られた焼き物をご紹介。

(ただし日本の陶磁器ではありません)Photo高麗青磁に桑の小枝をあしらっています。

実は、このページを見てくださっている方から、苦言がございました。

「お前の『~は、いずれ』は、一向に実現しない」と。

そこで、黒板先生の「いずれ」を今回書いてみた次第です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室