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2022年5月24日 (火)

味の品格【研究室から】

みちのくのお土産を頂戴しました。江戸時代から続く老舗のお菓子です。

早速お茶を淹れて、一口。

驚きました。砂糖の味がしません。麦芽糖つまり水飴の味のみです。

基本的な素材は、米と水飴。あっさりとして、深い滋味を感じます。

実に淡泊で落ち着きのある和菓子です。

派手な包装はせず、端正に切り分けただけのその形には潔さと気品。

と申しても伝わりませんので、織部の小皿に載せてお目にかけます。Photo織部は幕末の作、和菓子とよく調和する器です。

現在、刺激や甘みを追求した、色合いの強い食べ物があふれています。

担当者思うに、品のなさと紙一重。

それはそれで無視しがたい潮流なのでしょうが、

控えめな味やすっきりとした形も忘れてはならない、と思います。

「君子の交わりは淡きこと水のごとし」です。

(君子は、勿論「きみこ」ではありません)

お米で申せば、なんとかヒカリや何々コマチではなく、たとえば初霜。

メロンばかりではなく、時にはマクワウリ。

落ち着いた穏やかな味の食べ物こそ永く愛されるはず。

鶴見大学文学部日本文学科研究室