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2022年4月

2022年4月28日 (木)

新緑のふみくら【研究室から】

緑豊かな山の上で、久しぶりの古典籍調査。

風格ある建物が20万点の書物を守っています。

学生の頃から通い慣れた静嘉堂文庫です。

本年度から、専任の司書を置くことがなくなったのは、とても残念。

立派なふみくらでも、人の手なしでは貴重な資料を十全に管理できません。

この優れた文庫は、三菱草創期の総帥岩崎弥之助によって設立されました。

弥之助の高い志は、現在どのように受け継がれているのでしょうか。

世界遺産水準の古典籍とその環境は、もっと大切にされてよいはずです。Photo国宝・重要文化財が80点以上、と言うのも偉観です。

担当者は、一階向かって右の部屋で閲覧しました。

お世話になった学芸員の方々に感謝します。

帰りに和菓子屋へ立ち寄りましたこと、いつもの通りです。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2022年4月12日 (火)

夏間近【研究室から】

汗ばむほどの陽気です。

桜はほとんど散り去って、緑が日に日に濃くなります。

源氏物語の4月は、旧暦ですから勿論初夏。

4月を描いた印象深い巻のひとつが蓬生です。

赤鼻の姫君末摘花は広大なお屋敷にわびしく暮らし、偶然光源氏と再会。

この巻には様々な草木が書き込まれています。

浅茅・葎・松・藤・橘・忍ぶ草そして蓬。

江戸時代前期の写本でご覧ください。Photo中程、5行目に「四月ばかりに花ちるさとを」とあります。

ここから、源氏が荒廃した常陸宮邸を通りかかる話へ発展。

古風で不器用、容貌も冴えませんが、物語中最も幸せな女性のひとりでしょう。

是非ご自分でお確かめ願います。

鶴見大学文学部日本文学科研究室