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2021年5月

2021年5月24日 (月)

あやめもしらぬ【研究室から】

研究棟の脇では、アジサイが咲き始めました。

とは言え、5月の花はやはりアヤメ。

(菖蒲と書くこともありますが、それは正確にはサトイモの仲間)

「ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめもしらぬ恋もするかな」

(古今和歌集 巻11恋1)

これを本歌として、多くの作品が詠まれました。

例を挙げるのに迷うほど、たくさんあります。

「うちしめりあやめぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨のゆふぐれ」

アヤメの歌の中で、屈指の秀吟かと思います。

(出典と作者は、お調べください)

ついでに、もう一つアヤメ。Cimg0021古染付の皿と薯蕷饅頭の取り合わせです。

アヤメの焼き印と緑の葉で、水辺を描いています。

織部饅頭の応用でしょうね。

古染付の素朴で雅味のある風情も、いいものです。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年5月10日 (月)

新緑【研究室から】

風薫る季節、新緑のみずみずしさは格別!

初夏の光に若葉が揺れ、6号館のまわりもしたたるばかりの緑です。

木立が描かれた古い絵をとりだしてみます。

Ferdinand_kobellドイツの田舎、18世紀の風景です。

これはエッチング(銅版、6㎝×4㎝くらいの小品)、

ひなびた風趣が伝わってきます。

この細やかさを木版画で再現することが、19世紀に盛んとなりました。

堅く緻密な木口を利用した木版です。

では、英国ロマン派を代表するワーズワースの詩集から1枚。Wordsworth流れに沿った農家のたたずまいが、なんともすばらしい。

これも小品(10㎝×5㎝程度)です。

2枚を比べてみてください。

銅版と木版、区別が付きますか。

(見分けるためには、ちょっとしたコツが必要)

なお、図書館には英国ロマン派に関する優秀なコレクションがあります。

和漢洋を問わず、時の流れを乗り越えた書物は魅力的です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室