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2021年1月

2021年1月29日 (金)

芳香【研究室から】

入試の季節です。

受験生の皆さん、体調管理を万全に。

書物から離れて一休み、となればお茶とお菓子です。

なじみの店に香り高い和菓子がありました。Photo金柑の蜜煮を桃山生地で包み、少し離れた場所からでも香ります。

器は150年ほど前の織部、名工加藤春岱の作。

和菓子に限らず、どのような食べ物を載せてもしっくりなじむ佳品です。

(これを自慢したいばかりに・・・)

寒さ続きの毎日、お元気でお過ごしください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2021年1月10日 (日)

留守模様【研究室から】

あけましておめでとうございます。

よからぬやまいの流行で、在宅の時間が増えました。

この時期、室内での遊びは何と言っても百人一首。

(の、はずですが、さて)

百人一首カルタは江戸時代と近代以降とで、大きく違います。

読み札には上句、取り札には下句が古い形。

したがって1首全体を記憶していないと、読み役は勤まりません。

新形式は、読み札に和歌全体が示されています。

誰にでも読み役が出来ることとなりました。

その境界線は、明治維新でしょう。

古典の民衆化と解するか、知的水準の低下と見るか。

なかなかおもしろいところです。

(もっと詳しくご存じの方は、お知らせください)

これは、江戸時代のおもしろい百人一首カルタです。Photo

切って使いますが、裁断前の大判刷り物。

読み札は丁寧に描かれた歌人で、型どおりです。

取り札が留守模様となっています。

後京極摂政前太政大臣(藤原良経)にご注目。

左から2列の目上から2段目が読み札、

一番右の上から2段目が留守模様の取り札です。

「衣かたしきひとりかもねん」ですから、枕と衣。

いま起きたばかりの風情で、良経は右の寝床を見ています。

留守模様の百人一首カルタは珍しいでしょう。

刷り物の全体をお見せ出来ないのが残念。

それはそれとして、本年もよろしくお願い申し上げます。

鶴見大学文学部日本文学科研究室