留守模様【研究室から】
あけましておめでとうございます。
よからぬやまいの流行で、在宅の時間が増えました。
この時期、室内での遊びは何と言っても百人一首。
(の、はずですが、さて)
百人一首カルタは江戸時代と近代以降とで、大きく違います。
読み札には上句、取り札には下句が古い形。
したがって1首全体を記憶していないと、読み役は勤まりません。
新形式は、読み札に和歌全体が示されています。
誰にでも読み役が出来ることとなりました。
その境界線は、明治維新でしょう。
古典の民衆化と解するか、知的水準の低下と見るか。
なかなかおもしろいところです。
(もっと詳しくご存じの方は、お知らせください)
切って使いますが、裁断前の大判刷り物。
読み札は丁寧に描かれた歌人で、型どおりです。
取り札が留守模様となっています。
後京極摂政前太政大臣(藤原良経)にご注目。
左から2列の目上から2段目が読み札、
一番右の上から2段目が留守模様の取り札です。
「衣かたしきひとりかもねん」ですから、枕と衣。
いま起きたばかりの風情で、良経は右の寝床を見ています。
留守模様の百人一首カルタは珍しいでしょう。
刷り物の全体をお見せ出来ないのが残念。
それはそれとして、本年もよろしくお願い申し上げます。
鶴見大学文学部日本文学科研究室