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2020年5月

2020年5月21日 (木)

初夏【研究室から】

はやりやまいも、少し落ち着いてきたようです。

それでもしばらくはお目にかかれません。

人と人とが直接向き合う教育こそ、勿論本来の姿です。

問題の掘り下げも知識の定着も、離れていたのでは不十分でしょう。

しかし当分、manabaやポータルサイトを活用してください。

さて、日一日と緑が濃くなり、気分のよい梅雨前です。

季節の花を高麗青磁に挿してみました。

Photo 立ち菊を白黒象嵌した青磁の壺と、野いばらです。

壺は13世紀でしょう。

おもねらず誇らず、と言った花の風情にひかれます。

いばらは万葉の時代から歌に詠まれた植物です。

「ここかしこ岸根のいばら花さきて夏になりぬる川ぞひの道」(木下幸文)

これは近世のさらりとした歌柄、近代短歌と比べて遜色なし、でしょう。

いかが思われますか。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年5月 7日 (木)

紫の雲【研究室から】

と申しましても、極楽往生のことではありません。

藤の花が咲いています。

高い香りに誘われた蜂の、羽音も聞こえます。

歌人達は、藤を紫の雲に喩えました。

落ち着かない世の中ですが、花はいつも通り。

120年ほど以前の絵を見てみましょう。

Photo 水野年方の作です。

「侍女 宝德頃之人」とありました。

宝德(1449~1452)頃の装いを知りません。

小袖に白綾織りの袴でしょうか。

そんな詮索はさておき、楽しめる絵だと思います。

若い女性は、花に舞う蝶を眺めているようです。

ついでに、竹柏園主人の歌を。

「むかひゐて言葉すくなしあえかなるゑまひににほふ藤波の花」

では、また。

鶴見大学文学部日本文学科研究室