« 2020年2月 | メイン | 2020年4月 »

2020年3月

2020年3月29日 (日)

残りの雪【研究室から】

時ならぬ雪模様。

かつてこれを「残りの雪(残雪)」と言いました。

降った雪が消え残っている、のではありません。

冬の雪が天上に残っていて、春になってから降る現象です。

160年前の3月3日も大雪でした。

(桜田門を思い出された方は、なかなか優秀)

今日は旧暦3月6日ですので、ほぼ同時期です。

雪踏み分けて桜探訪。

Photo 花はいかにも寒そうでした。

「桜ちる木の下風はさむからで空にしられぬ雪ぞちりける」

(誰の歌でしょう)

散る花を雪に見立てるのは常套ですが、本物の雪と桜は珍しい。

ついでに申せば「空にしられぬ雪」の解はちょっと厄介です。

空にはみたことのない雪が、と考える方が多いようです。

「しられぬ」を受け身と見るのはどうでしょう。

用例から帰納すると、こちらに分がありそう。

やっかいな病気蔓延を避けるべく、家にいらっしゃるみなさん、

やまとうたをじっくり読まれてはいかが。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年3月17日 (火)

待ちし桜も【研究室から】

卒業式・入学式のみならず、さまざまな催しが中止や延期となっています。

心待ちにしていた桜を、うっかり見過ごしそうです。

「たれこめて春の行方もしらぬまに待ちし桜もうつろひにけり」

出典を捜してください。

家を出ないならば、それは読書の好機でもありますから。

そして、読書の友にお茶とお菓子を。

この時期はやはり・・・

Photo 

色絵祥瑞の皿を自慢したくて出しました。

(根津美術館に類品があります)

道明寺粉を使う関西風とは大きく異なります。

小麦粉の水溶きを焼くのが、関東風。

中国古来の「餅」は小麦粉の加工品ですから、関東の桜餅も文句なく「餅」。

青木青児博士の該博軽妙な考証をお読みください。

くず餅も西と東で異なります。

これもお調べ願います。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年3月 3日 (火)

老舗【研究室から】

世の中、新しい病気の話題ばかり。

閉鎖空間や人混みが感染の大きな要素だそうです。

結局、それは都市の病と言うことなのでしょうか。

急激な都市化や過度の密集に対して警告しているようにも思われます。

さて、今日は伝統行事桃の節句。

担当者にはまったく似合いませんので、伝統の菓子ひとつお目にかけます。

芙蓉手古伊万里に載せて。

Photo 檜の板にも見えますが、和三盆を使った信州の産。

例のない口当たりと不思議な軽さが印象的です。

200年以上の老舗、とか。

ちなみに、芙蓉手は300年くらい前の佳品です。

新しいものがよい、とは限りません。

春間近なこの頃、お元気でお過ごしください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室