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2023年10月

2023年10月22日 (日)

歩いてみると【研究室から】

読書に思索に、好適な季節です。

勿論、散策にもふさわしい日よりですので、それを口実に机辺を離脱。

雑木林を抜け湿地へ出てみると、可憐な花を見つけました。

野生植物に詳しくないので、名前は分かりません。

(久保田淳先生は、この方面にもお詳しい方です)

一応、お目にかけます。Photoふと思い出したのは、『草の花』。

ご存じ福永武彦氏の小説です。

文学賞受賞の長編よりも、この『草の花』や『独身者』などが面白いでしょう。

『加田伶太郎全集』と言う洒落た本もあります。

1冊本ですが、なんと月報付き!

『枕頭の書』以下の随筆集もお薦めです。

師渡辺一夫譲りの軽みがあり、装丁もおもしろい。

読書の秋にどうぞ。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2023年10月 9日 (月)

みのりの秋

柿が収穫の時を迎えています。

稲刈りの季節も間近。

源氏物語でも、秋の田園風景が印象的に書き込まれています。

夕霧の巻と手習の巻です。

明暦版の源氏小鏡から、小野の稲刈りをご紹介。

尼となった浮舟の女君は、山里の収穫作業を眺めています。

(尼と言っても、髪を少し削いだだけ)Photo「秋になりゆけば、空の景色もあはれなるを、門田の稲刈るとて」

歌をうたいながらの農作業です。

わかりにくいので、大きくしてみましょう。Photo_2さて、友人にふるさとのことを聞きました。

耕作放棄地が目に見えて増えているそうです。

(無償でも借り手がない)

田園まさに荒れなんとす、どころか、もう荒廃がずいぶん進んでいるらしい。

里山はさらにひどい状況とか。

(他人事ではありません、都会の飲み水や防災に深く関わります)

食糧自給率を云々されるみなさん、言葉だけならば簡単なこと。

一度田舎の現場へ行かれてはいかが。

なぜ農業が衰退するのか、ご自身の眼でお確かめください。

お百姓生まれの担当者は、収穫の秋を素直によろこべません。

鶴見大学文学部日本文学科研究室