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2019年4月

2019年4月27日 (土)

書物の美【研究室から】

藤の花が揺れ、躑躅も鮮やかに咲く季節。

まことに「春のわかれは藤つつじ」(佐藤春夫)です。

さて、前回の続きのようなお話。

本は、もちろん中味、つまり内容が大切です。

しかし装丁や料紙、活字そして挿絵もまた、無視し得ない要素でしょう。

秀抜な造形感覚により周到念入りに作られた書物は、理屈抜きで素晴らしい。

Photo 100年以上前に英国で作られた本です。

(下の時計もほぼ同じ頃の製作で、これは脇役。

 時間を忘れて読書する、と演出したつもり)

縦横比が普通の本とは少し違っていて、洒落た姿をしています。

丁寧な仕上げのモロッコ皮も洗練の箔押しも、十分に魅力的です。

「文学研究にとって書誌学はどんな意味を持つか」を問うのではありません。

(書誌学的知識なしに高度の国文学研究は不可能ですし)

感動すべきものに素直な反応のできない方が、もしいらっしゃるとすれば、

失礼ながら、人として基本的な何かを欠いておられるのではないでしょうか。

暴論だ、のご意見は十分承知の上で、かくの如く申し上げました。

さあ、連休中にたくさん本を読みましょう。

なるべくならば、美しい本で。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年4月16日 (火)

磨く、鍛える【研究室から】

花吹雪の次は新緑。

楠や欅の若葉が陽光に輝く日も間近です。

その前の時期、白く飛ぶ綿毛をご存じですか。

と言っても、蒲公英(何と読むのでしょう)ではありません。

柳絮です。

Photo 実物はまた別の機会として、貞政少登先生の作品をご紹介。

白く胡粉で文様を刷った唐紙風の料紙に、淡墨が冴えています。

(撮影の技が拙劣、すみません)

かなりの長鋒を自在にこなして書かれました。

文字の組み方・墨色・空間処理など、練りに練った作品でしょうけれど、

出来上がりは律動的で軽妙に、どこまでも楽しそうに。

書に限らず絵でも彫刻でも工芸でも、造形のおもしろさに反応できる感性を、

大学生の間にしっかり磨き、鍛えてください。

学業と同じくらい大切なことです。

社会人となっても、心豊かな日々を送れますから。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2019年4月 2日 (火)

ことしも【研究室から】

見事に桜が咲きました。

新入生のみなさん、大学はすてきなところです。

学ぶことの楽しさを実感し、友達の輪を広げてください。

図書館への階段から眺めた桜です。

Photo キャンパスのあちこち、そしてご本山にも美しく咲いています。

あいにく花冷えの曇り空。

体調管理に気をつけて新学期をお迎えください。

ついでに申しますと、夜桜も風情があってなかなか結構。

「狐鳴くや手児奈の里の花の宵」(無名氏)

さて、図書館のミニ展示は花祭りまで。

かなり遠くから来てくださった一般の方がいらっしゃいます。

ご来場、感謝。

鶴見大学文学部日本文学科研究室