牡丹の豪奢も賞すべきこと勿論、しかしより清楚な芍薬が担当者の好みです。
(しっかりシャクヤクと呼んでください)
さて、古今集に芍薬の花があるのをご存じですか。
探したけれど見つからない、と怒ってはいけません。
「難波津にしゃくやくの花冬ごもり今は春べとしゃくやくの花」!
江戸時代の小話に出てきます。
遡ると、室町時代まで「しゃくやくの花」の洒落がたどれます。
調べてみてはいかが。
文学史のレポートくらいにはなるでしょう。
ご存じでしたか。
立てば芍薬座れば牡丹、の俗謡もあります。
花の楽しみは尽きません。
では、27日のオープンキャンパスで会いましょう。
研究室脇にアジサイが咲いています。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
桜の次が藤、その次は新緑と、とどこおりなく季節は進んでおります。
みなさんの勉強(研究)は、いかが。
ちょうどこの時期にふさわしいくだりをご紹介します。
『枕草子』の「木は」。
「花の木/どもちりはてゝをしなべたるみどりに
/なりける中に時もわかずこきもみぢ」
(/は改行、濁点を付けました)
古い本はこんな顔をしている、と分かれば1年生。
なんとか字が読めれば2年生、中味を少しずつ調べると3年生。
4年生以上は、本文系統の判断もする。
では、専門家(教員)なら。
いろいろ出来なければと思いますが、まず書写年代の見当を付けられること。
さあ、がんばりましよう。学問は楽しいものです。
ついでに申しますと、この本、小津桂窓の旧蔵。
桂窓は本居春庭(宣長の息)に学び、馬琴とも交流がありました。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
いろいろ思い浮かぶところですが、お薦めは『草枕』。
奇想と名文、漱石の魅力あふれる作品です。
羊羹を讃えるくだりは、よく知られています。
(他に、駄菓子も登場)
ただし、青く練り上げられた羊羹、と言うところがわかりにくい。
いったい何を使った羊羹なのでしょう。
青磁の皿に盛るのも、取り合わせとしては付きすぎていませんか。
そこで青磁を避け、別の器に乗せてみます。
黄瀬戸か唐津か京焼か、悩んだあげく古伊万里の鉢を選びました。
抹茶羊羹と付きすぎているところは、ご勘弁願います。
さて、新学期が始まります。
どんなことでもよろしいですから、なにか楽しみを見つけてください。
授業・課外活動・図書館・友人との会話、学食であっても大いに結構。
教員にあれこれ質問してみるのも、楽しいかと。
鶴見大学文学部日本文学科研究室
春は名のみの、この頃。
とは言え、日差しは強く明るくなっています。
その陽光に誘われて、天神様に参詣しました。
まだ花には早いか、と思いましたら、祠の前に紅梅と白梅。
お社の小ささが、絶妙。 「白妙ににほふもあかぬ梅の花くれなゐふかき色さへぞみる」
紅白の梅を1首のうちに詠んだ歌は存外少ないようです。
元真集より採りました。
(和歌研究の大家で植物にもお詳しいK博士にお尋ねしてみたいところ)
さて、成績発表の日が近づきました。
予想以上の出来映えならば、勿論おめでたい。
不本意な結果であれば、心機一転。
これから、です。
ちなみに天神様のご縁日は25日。
散策のついでに、お参りしてみてはいかが。
鶴見大学文学部日本文学科
大学はお休みに入りました。
通年30週の授業を確保せねばならず、休暇の短縮は必至です。
そして仕事の遅い担当者は、今日もあの本を開きこの資料を探し・・・
研究室からご本山の境内に出ると、月が宵の空高くかかっておりました。
『源氏物語』朝顔の巻には、冬の月のおもむき深さが語られています。
そして批判の対象となったのが、師走の月を興ざめとする意見でした。
清少納言がそう言ったと古い註に書かれていますけれど、
現存『枕草子』諸本には見えません。
なお、『二中歴』には「十二月月夜」(第十三、十列歴)があります。
『枕草子』の物づくしと李義山の雑纂との類似は、よく言われるところ。
その指摘は、中村蘭林『講習余筆』が早いのでは、と思っています。
こんなことも研究の種。
では、よいお年をお迎えください。
鶴見大学文学部日本文学科研究室