みのりの秋
柿が収穫の時を迎えています。
稲刈りの季節も間近。
源氏物語でも、秋の田園風景が印象的に書き込まれています。
夕霧の巻と手習の巻です。
明暦版の源氏小鏡から、小野の稲刈りをご紹介。
尼となった浮舟の女君は、山里の収穫作業を眺めています。
(尼と言っても、髪を少し削いだだけ)「秋になりゆけば、空の景色もあはれなるを、門田の稲刈るとて」
歌をうたいながらの農作業です。
わかりにくいので、大きくしてみましょう。さて、友人にふるさとのことを聞きました。
耕作放棄地が目に見えて増えているそうです。
(無償でも借り手がない)
田園まさに荒れなんとす、どころか、もう荒廃がずいぶん進んでいるらしい。
里山はさらにひどい状況とか。
(他人事ではありません、都会の飲み水や防災に深く関わります)
食糧自給率を云々されるみなさん、言葉だけならば簡単なこと。
一度田舎の現場へ行かれてはいかが。
なぜ農業が衰退するのか、ご自身の眼でお確かめください。
お百姓生まれの担当者は、収穫の秋を素直によろこべません。
鶴見大学文学部日本文学科研究室