青葉がくれ【研究室から】
日一日と緑が深くなるこの頃、桜の舞う風景はもう夢の彼方です。
キャンパスの若葉や木漏れ日、そして吹きすぎる五月の風。
気持ちよく勉強できる季節です、ね。
研究棟から鐘楼の脇を通って、本山の境内へ出てみます。
木立の美しさは、ひとしお。風格ある建物を静かに包む、緑の境内です。
「春のゆくゑをしらぬまに
ひとの心もうつろひぬ
髪に舞ひけむさくらばな
青葉がくれとなりにけり」(読み人知らず)
さて、やはり食い気。
なじみの和菓子屋では、菖蒲饅頭を作っていました。
(織部饅頭を一工夫したもの、焼き印が菖蒲です)
薯蕷をふんだんに使った皮と漉し餡が、とてもおいしい。
妙に気取ったり新しがったりするお菓子より、はるかに上等です。
平凡に見えながら、しっかりと作られた食べ物は、なかなかに得がたい。
新茶が楽しみです。
鶴見大学文学部日本文学科研究室