神無月のころ【研究室から】
徒然草の「栗栖野といふ所を過ぎて」を思い出される方もおられるでしょう。
が、源氏物語の帚木です。
「神無月のころほひ、月おもしろかりし夜」に女性の家を訪れる話。
「ころほひ」が「ころ」となっている本もありますので、徒然草と同じ表現。
ある殿上人が女性のところを訪れると言うので、同車して出かけてみると
なんと自分の恋人の家でありました。「風にきほへる もみぢの みだれなど あはれに けにみえ」とあります。
江戸時代前期の能筆、おっとりと品の良い書です。
書き手が特定できるのではないか、と思いますが、まだ調べておりません。
紅葉の金泥下絵も洒落ています。
ことしは何処の紅葉を眺めましょうか。
鶴見大学文学部日本文学科研究室