汗ばむほどの陽気です。
桜はほとんど散り去って、緑が日に日に濃くなります。
源氏物語の4月は、旧暦ですから勿論初夏。
4月を描いた印象深い巻のひとつが蓬生です。
赤鼻の姫君末摘花は広大なお屋敷にわびしく暮らし、偶然光源氏と再会。
この巻には様々な草木が書き込まれています。
浅茅・葎・松・藤・橘・忍ぶ草そして蓬。
江戸時代前期の写本でご覧ください。中程、5行目に「四月ばかりに花ちるさとを」とあります。
ここから、源氏が荒廃した常陸宮邸を通りかかる話へ発展。
古風で不器用、容貌も冴えませんが、物語中最も幸せな女性のひとりでしょう。
是非ご自分でお確かめ願います。
鶴見大学文学部日本文学科研究室