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2021年12月16日 (木)

燈火ちかく【研究室から】

続けて「衣(きぬ)縫う母は」が出てくる方は、相当のご年配でしょう。

唱歌「冬の夜」の1番です。

2番の「過ぎしいくさの手柄を語る」を覚えておられる方は、もっとご年配。

などと言う話ではありません。

草子巻物を広げ、火を近くともしながら推敲をかさねた歌人がいました。

若くしてなくなった宮内卿が、その人です。冬の歌をまず1首。

「時雨つる木のした露はおとづれて山ぢのすゑに雲ぞなりゆく」

よく知られているのは、恋の歌。

「聞くやいかにうはの空なる風だにも松に音するならひありとは」

享年20歳くらいと言われております。どんな女性だったのでしょうか。

『歌仙部類抄』に絵姿がありますので、お目にかけます。

(勿論、絵師が想像して描いた図)Photo『歌仙部類抄』の絵は、丸顔の親しみやすい女性が多く登場します。

橋本直香の撰、絵は高島千春です。

もっとも愛らしい(と担当者が考える)図をご紹介して、今回はおしまい。

冬の夜長にじっくりと読書なさってください。Photo_2

鶴見大学文学部日本文学科研究室