萩と月【研究室から】
「萩の月」ではありません。
(それは東北地方のお菓子です)
古典文学では、月・露・鹿が定番の取り合わせでした。
中秋の名月が過ぎたばかり、月の出がだんだん遅くなります。
「風ふけば玉ちる萩の下露にはかなく宿るのべの月かな」
月と一緒に木星も見られますので、是非どうぞ。
もう1首。
「いはれ野の萩の朝露わけ行けば恋せし袖のここちこそすれ」
お坊さんの歌であるところが、おもしろい。
在俗の時、何か忘れがたいことがあったのでしょう。
この時期、おはぎも忘れるわけにはいきません。藍九谷風の皿に漉し餡のおはぎです。
(藍九谷とは言っても、古伊万里)
おはぎと牡丹餅との違いが、よく話題となります。
昔、少し珍しいおはぎを貰ったことがありました。
餅米を蒸して皿に浅く盛り、その上に餡を載せたものです。
白砂に散った萩の花を、お米と餡とで表現。
「なるほど、おはぎか」と納得しました。
正直申しますと、若い頃はあまり好きではなかったのです。
お気に入りの器に盛って楽しむことが、年とともに多くなりました。
人も風景も好みも、変わります。
鶴見大学文学部日本文学科研究室