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2020年9月

2020年9月20日 (日)

食い意地【研究室から】

少し涼しくなりました。食べ物のおいしい季節です。

正岡子規『仰臥漫録』は、近代の日記中最もおもしろいものの一つ。

生きているのが奇跡、と言うほどの病床で

日記をつけ、絵を描き、歌を詠み、句を吟じました。

ほとんど唯一の楽しみは、食べること。

ココアやビスケットなど、しゃれたものも口にしています。

『漫録』に一番多く出てくるのは、菓子パンでしょう。

印象に残るのは、家族といさかいをしてまで食べたがった団子。

「あん付三本焼一本を食ふ」(明治34年9月4日)

そこで、餡団子を御深井の角皿にのせました。Photo時には「夕暮前やや苦し、喰過のためか」とか

「やけ糞になって羊羹菓子パン塩せんべいなどくひ渋茶を吞む、あと苦し」。

その病苦を思うと、壮烈な食い意地ではありませんか。

昨日9月19日は、子規の命日でした。

ちなみに御深井は「おふけ」と読んでください。

鶴見大学文学部日本文学科研究室

2020年9月 4日 (金)

秋の花【研究室から】

秋の野に、花の錦。

とは言え、女郎花も桔梗も萩も、管理されたものばかり。

自然のまま咲く花を見かけなくなりました。

さて、大型台風が近づいています。

源氏物語でも、野分が吹き荒れました。

「おとど(御殿)の瓦さへ残るまじく吹きちらす」ほどの強風です。

光源氏の六条院に瓦葺きの建物があったか、寝殿造りの棟瓦か、でしょう。

Photo_2几帳のかげには秋好中宮、庭に薄・桔梗・女郎花などが揺れています。

左側の絵と右の本文との間に「ク二」と見えるのは、何でしょうか。

すぐにわかった方は、偉い!

(野分の巻が何帖目に当たるか数え、そして一ひねり・・・)

これから、本格的な読書の季節。

たくさん読むことは、知的な資産形成です。

鶴見大学文学部日本文学科研究室