紫の雲【研究室から】
と申しましても、極楽往生のことではありません。
藤の花が咲いています。
高い香りに誘われた蜂の、羽音も聞こえます。
歌人達は、藤を紫の雲に喩えました。
落ち着かない世の中ですが、花はいつも通り。
120年ほど以前の絵を見てみましょう。
「侍女 宝德頃之人」とありました。
宝德(1449~1452)頃の装いを知りません。
小袖に白綾織りの袴でしょうか。
そんな詮索はさておき、楽しめる絵だと思います。
若い女性は、花に舞う蝶を眺めているようです。
ついでに、竹柏園主人の歌を。
「むかひゐて言葉すくなしあえかなるゑまひににほふ藤波の花」
では、また。
鶴見大学文学部日本文学科研究室