残りの雪【研究室から】
時ならぬ雪模様。
かつてこれを「残りの雪(残雪)」と言いました。
降った雪が消え残っている、のではありません。
冬の雪が天上に残っていて、春になってから降る現象です。
160年前の3月3日も大雪でした。
(桜田門を思い出された方は、なかなか優秀)
今日は旧暦3月6日ですので、ほぼ同時期です。
雪踏み分けて桜探訪。
「桜ちる木の下風はさむからで空にしられぬ雪ぞちりける」
(誰の歌でしょう)
散る花を雪に見立てるのは常套ですが、本物の雪と桜は珍しい。
ついでに申せば「空にしられぬ雪」の解はちょっと厄介です。
空にはみたことのない雪が、と考える方が多いようです。
「しられぬ」を受け身と見るのはどうでしょう。
用例から帰納すると、こちらに分がありそう。
やっかいな病気蔓延を避けるべく、家にいらっしゃるみなさん、
やまとうたをじっくり読まれてはいかが。
鶴見大学文学部日本文学科研究室