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2019年4月27日 (土)

書物の美【研究室から】

藤の花が揺れ、躑躅も鮮やかに咲く季節。

まことに「春のわかれは藤つつじ」(佐藤春夫)です。

さて、前回の続きのようなお話。

本は、もちろん中味、つまり内容が大切です。

しかし装丁や料紙、活字そして挿絵もまた、無視し得ない要素でしょう。

秀抜な造形感覚により周到念入りに作られた書物は、理屈抜きで素晴らしい。

Photo 100年以上前に英国で作られた本です。

(下の時計もほぼ同じ頃の製作で、これは脇役。

 時間を忘れて読書する、と演出したつもり)

縦横比が普通の本とは少し違っていて、洒落た姿をしています。

丁寧な仕上げのモロッコ皮も洗練の箔押しも、十分に魅力的です。

「文学研究にとって書誌学はどんな意味を持つか」を問うのではありません。

(書誌学的知識なしに高度の国文学研究は不可能ですし)

感動すべきものに素直な反応のできない方が、もしいらっしゃるとすれば、

失礼ながら、人として基本的な何かを欠いておられるのではないでしょうか。

暴論だ、のご意見は十分承知の上で、かくの如く申し上げました。

さあ、連休中にたくさん本を読みましょう。

なるべくならば、美しい本で。

鶴見大学文学部日本文学科研究室