若書き【研究室から】
卒業論文はいかがでしたか。
思い通りに、それとも、もう少し頑張れば・・・。
次は定期試験です。あともう一山、それを過ぎると春が近づきます。
さて、みなさんとほぼ同じ年齢で、近代の作家は何を書いていたでしょうか。
漱石は比較的遅い出発ですが、学生の頃見事な漢文で『木屑録』を綴ります。
尾崎紅葉はすでに大家かつ売れっ子でした。
面白いのは、芥川龍之介の最初の作品が『老年』だと言うこと。
幸田露伴も、若い時代に晩歳老境を語る小説を書いています。
『太郎坊』です。音に聞こえた『五重塔』よりずっとおもしろいでしょう。
頭の薄くなった亭主の昔話仕立てですが、相手をするおかみさんも見事。
「伊万里の刺身皿」「同じ永楽」「中は金襴地で外は青華で」などと
すらすら続けられる女性が、はて、向こう三軒両隣におられましょうや。
道具修行をかなり積まないと、このおかみさんのようにはなりません。
左利き必読、となれば、盃を並べてみたくなります。
絵瀬戸盃・明呼子盃・無地志野猪口・李朝粉引盃です。
台は李朝の漆器、時折これで飯を食います。
(担当者は、情けないことに下戸)
では、お風邪など召しませぬよう。
鶴見大学文学部日本文学科研究室